夢の中のキス









太陽が照らす中で小鳥たちが可愛い声でさえずり、パラソルの下に居る私とドラコは広い庭の向こう側にいる子供たちを眺めている。
緑いっぱいの庭で微笑ましい光景を見ながら私とドラコは・・・



「キャァーッッ!!」



大広間に居る全生徒がの方に目をやった。しかしはそんな事気にもせずに、先ほどの夢の余韻に浸っていた。
目は虚ろで、口は半開き。恍惚とした表情で遠くを見つめていた。


すると突然頭に軽い痛みが走った。


・・・コツッ



「いひゃっ!」


「いひゃってなんだよ」


ニヤッと口の端だけで笑うその人はドラコ。愛しのドラコであった。


「どーでもいいけど、人前で叫ぶのは止めたほうがいいぞ?叫ぶのはベッドの中だけで十分だ。」


「む・・・ドラコって結構エロイよねぇ・・・まぁそういうトコも全部大好きだけどッッ!」
その言葉にドラコは軽いキスで応じた。僕もだ、と伝えたいのであろう。


「私ね、さっき夢見てたの。広い庭がある大きい家に私達が住んでて、子供たちが遊んでる姿を二人で笑いながら見てて。
それでね、目が合った途端ドラコに引っ張られてね、ドラコの顔がどんどん近付いてきてディーp・・・・ッ」


言い終わらない内にドラコの視界からが消えた。
二人の男がを抱えている。


「ウィーズリー!!」


時すでに遅し。はすでに大広間を出るところだった。








〜〜〜〜








「フレッド!ジョージ!どうして私とドラコの邪魔するのよっ!」


双子に抱えられながらも必死で足をバタつかせた。


「そんなの簡単さ。僕らが君の事を愛してるから!」
「そう!あんな坊ちゃんにくれてやるものかっ!」


いっそう強くを抱きしめた。


「いや・・・嬉しいけど私ドラコ一筋だし。それにフレッドとジョージとは友達でいたいな・・・」
抵抗するのをやめ、素直に、静かに言った。


「本気でそう思ってるの?」


「うん、本気だよ。」


二人はをそっと下ろすと、頬に軽いキスを落として帰っていった。


!ドラコがイヤになったらいつでも僕らのところへおいでっ!」


「僕たちが添い寝してあげるから!!」


「うん、よろしくね。」


少しすると二人が急に振り向いた。


「「の体の保証は出来ないけど───!」」


「そんな事したら、あなた達の命の保証も出来ないわよっっ!」も負けじと言い返した。







(ごめんね・・・)









〜〜〜〜〜〜〜








「おいっ!ドコ行ってたんだよ、心配したんだぞ。」
ハァハァ息を切らしながらの元へと走ってきた。


「ん、誘拐されてた。さっき解放してくれたけどねっ」


にこにこ笑いながら言うにドラコが肩を落としたのが分かった。


「お前、少しは自分の貞操の危機だったってことに気付け。」


「テーソーなんて難しい言葉使わないでよ、ドラコがもう半年も前にそのテーソーってもんを奪ったくせに。」


ドラコの二つの綺麗な目が少し泳いだ。


「う、うるさいっ!しょうがないだろ。見てるとつい・・・」




「ふ〜ん・・・。」
ニヤッと笑うと素早くドラコの唇を塞いだ。





「・・・・んッ・・・」
ドラコは目を大きく見開き、必死で後ろのめりになりそうなのをこらえた。



「・・・・・・ッはぁ・・・・」絡められる舌で目に涙が溜まっていた。



しばらくそれを続けていたが最後にドラコの唇を少し舐め顔を離した。



「何・・・すんだよ・・・・。」


「しょうがないでしょ。ドラコ見てるとついねぇ〜。」
唇を人差し指で拭いながら仕返しだと言わんばかりに笑った。


「そうか・・・お前もか・・・そうか・・・。」そういい残してドラコはに背を向けた。


「え・・・ちょ、ちょっとどうしたの!?」


「うるさい・・・僕はもう寝る。授業サボるから、よろしくな。じゃぁ・・・。」


時計を見ると針はもう授業の始まる時間を指していた。人の波がドラコが向かったほうとは逆に流れている。

少しの間その場で立ち尽くしていたが、意を決すると、波を掻き分けながら寮の方へ突き進んだ。


「・・・歩くの早いよドラコ・・・」







〜〜〜








「い、いない・・・。」



談話室にはドラコはいなかった。ただ少しだけ暖炉から聞こえてくる音以外は何も聞こえない。

(部屋かな・・・?)


そう思って階段の方へ足を進めると、後ろから突然バシッという音がした。

振り返ろうと首を動かすもそのまま体が動かなくなっていた。


コツ・・・コツ・・・と誰かが後ろから歩いてくる音が響く。

耳元に少し息がかかった。



「ごめんな・・・。もう我慢できない・・・」


ひょいと体をすくわれ、ドラコに抱えられた。ドラコの足は自室に向かっている。

声を出そうにも、口がパクパクするだけで声にはならない。



「辛くなったら声出させてやるから、それまで我慢しろよな。これはお仕置き。」


(やめてーーーーーーーッッ)


声にならない叫びが虚しくの中だけで響いた。






夢の中のキスは警告。






(・・・ッあぁぁっ!!!)






呪文を解く暇もないほどに愛されないための。