Sagitta 矢座の学名
矢座は愛の神、エロスの放つ矢の事。
貴方様は、僕の心に矢を放ちました。
とても深く、温かい矢を。 一生抜けそうにありません。
・・・・・・絶対抜けないで欲しいです。
Sagitta
それは本当に突然だった。
僕の顔の目の前にの顔が来た時。
「ドラコ・・・顔が赤いよ?」
「あぁか・・・・昨日、フィルチのバカが持っていたバケツをぶっかけたせいで、少し鼻風邪を・・・」
「ちょっと動かないでねー」
前髪を押さえられたかと思ったら、目の前にが来た。
唖然として動けなかったが、オデコになにか当たった感触。
「んー・・ちょっと熱いかな」
オデコを重ねながらもが言った。吐息が唇にかかる。 あと10センチで唇がくっ付く。
男の欲情で熱が上がったのか、本当に風邪で熱が上がったのかはわからない。
ただ、とずっとこうしていたかった。
「マダム・ポンフリーの所へ行く?」
オデコの感触が消えたことで、少し寂しい感じはしたが、
目の前にがいるんだから・・・いっか。
「いや、大丈夫」
「じゃぁ・・・薬でも渡そうか? マグルのだけど・・・」
「大丈夫。これぐらい・・」
「マグルのじゃ嫌だろうけど、こういうのはマグルの薬のほうが効くんだよ? 待ってて、持ってくるから!」
スリザリンでは珍しいの家系。
の兄弟は魔法使いじゃないのに、スリザリンに入った。
最初は絶対話すもんか と思っていたのに。
なぜもっと話したいと思っているのだろうか―・・・
「もって来たよ、薬!」
「水は・・?」
「あ・・・忘れた」
「それじゃ意味ないじゃないか」
その姿がとっても可愛くて。照れを隠そうとしても、隠しきれていなくて。
今まで見てきたどの女よりも可愛いと思う。 いや、可愛いはずだ。
「あ、大丈夫。飲めるよ?」
「水が無いのに飲める訳ないだ・・・ろ・・」
は薬を取り出して己の口の中に入れる。
気が可笑しくなったのかと思えば、すぐさま俺のほっぺを掴む。
「・・・ッ・・!」
「・・ン・・ん・・・・」
の口から、流れ込んでいる細長いモノ。
これがマグルの薬か・・・と感心していると、すぐさま喉を流れる。
身体全体がの唾液を感じたいと思ったのか、スルッと入る感覚がくすぐったい。
「えへへ・・・飲めたでしょ?」
「あ・・あぁ・・・・」
もう、この瞬間で射抜かれていた。
胸に何かが刺す感触がした。 間違いない、僕はに恋してる。
「・・・あー・・聞いて欲しい事あるんだけど」
「?・・なに?」
も僕がなにを言いたがっているのかが伝わったのだろうか。
少し顔を火照らせながらも、目をジーッと見つめてくる。
見つめられると、見つめるしか出来ない。
目を離せないんだ。 まるでブラックホールに吸い込まれるような感覚。
「ぼ・・・僕と・・・」
心音が邪魔をする。
「その・・・」
黙らなくて良いから、静かにして。
「・・あー・・っと・・」
は僕の気持ちわかってくれてるサ。
「付き合ってくれないか・・・?」
「良いよ。私、ドラコの事大好きだから」
愛の神エロスよ。
卑怯だぞ。こんなにドキドキさせるなよ。