Wich side are you on?
フレッドとジョージが喧嘩をした。
本気で珍しい。
喧嘩の理由は、どちらが新しい『イタズラ入門術 8月号』の本を買うかという、
ショボイ理由らしい。
本当は交互に買っているんだけど、7月号を2人が同時に買っちゃったんだって。
だからどっちが買うか迷ってるらしい。
じゃぁ、6月号を買ってない方が買えば良いじゃん って事だけど、忘れたみたい・・・・
「ジョージが買えよ!」
「いや、フレッドが買えよ!!
朝からずーっとこんな感じ。
私の横でこの調子だから、五月蝿くてたまんない。
「、これ美味しいよ。食べてみて」
フレッドがスプーンを差し出せば、
「フレッドのなんかより、俺のを食べろよ」
とスプーンを差し出す。私の頭上で火花が飛び散っている。
そりゃ2人同時に食べたいけど、口避け女みたいになりながら食べるのだけは勘弁・・・。
でもどちらかを選ぶと、どちらかが傷付くし・・・・
「食べられないわ。私がジョージの食べたらフレッドは傷付くし、逆でもジョージが傷付くわ」
「「傷付きはしないから、さぁ!」」
いや、「さぁ!」て笑顔で言われても・・・・
「フレッド・・・ジョージ・・・・話があるわ。夕食食べたら、いつもの廊下で待ってるから来て。
・・・・二人で来るように!」
私は2人の頭をポンッと叩き、大広間から出た。
後ろを振り返ってみると、2人は反対の方向を向きながら、
いっさい会話をせず、食事を続けていた。
その光景を見ていると、溜息が零れてしまう。
「バッカみたい・・・・」
私が廊下に背中をくっつけ、退屈していると、
遠くから早歩きをしている2人が現れた。
腕をブンブン振って、どちらが先に私の所に来るか競争しているように見える。
「子供かよ・・・」
突っ込みが口から出る。小さいから聞こえないみたい。
「「話しって何!?」」
私の目の前に来た瞬間、2人は声を揃えて聞いてきた。
さすが、双子!喧嘩してる時だって声が揃うんだね、お見事!
「あのね・・・2人が喧嘩してるのは私にとってどうでも良いわ。だから私を困らせるようなことはしないで」
「「はどっちの見方なんだよ?」」
2人は私を凝視しながら聞いてくる。
歯を食いしばっているし、手は小刻みに震えている。
「バカな事聞かないで・・・・」
「「?」」
「私は2人が好きなの。ジョージはとっても優しい所が好き。フレッドは私を守ってくれる所が好き。比べることなんて出来ないし、どちらの見方なんて出来やしない。2人は私の事好きなんでしょ?・・・その私を困らせるの?」
言葉につまっている。
私の言葉に納得できるんだけど、納得したくない・・・という気持ちも少しあるのだろう。
「イタズラ入門術の本は、2人が半分ずつお金を出せばいいじゃない。2人には失礼かもしれないけど、本が買えなくても我慢すればいいと思う。だけど、2人が喧嘩して、気まずい雰囲気なんて耐えられない・・・・2人には仲良くしていて欲しいの。明日はホグズミートがあるのよ?喧嘩したまんま行きたくない・・・・・」
「「・・・・・・・・ごめん・・・」」
納得したみたいで、ションボリしていたが、
お互いニッコリ笑い合ってハイタッチをしている。
「2人が喧嘩してるなんて、似合わないわよ」
そう言うと、2人はニコッと笑い、私の頬にチュッとキスをした。
一週間ぶりの感覚に、自然に笑みがこぼれた。