Wide of the mark….....01
















ジョージの頭の中で、色々な意見が飛び交う。
もう一人の自分と意見の交換をしていた。



言っちゃダメだ。ここでフレッドに言ってしまったら“あいつ”の気持ちを踏みにじる事になる。
好きな奴に他の男とSEXしたなんてバラされたら嫌に決まってる。でも、言いたい。



言えば“あいつ”は俺の事が好きなんだってフレッドに思わせられるかもしれない。
あいつが俺を好きになるのに時間がかかったとしても、少なくともフレッドから好意を寄せる事は無くなるだろう。





この際言っちゃえよ。



   “ダメだ。”




もうどうにでもなれ。



   “俺が自分であいつを騙して誘ったんだろ!その上フレッドに言うなんて・・!”



どっちにしろ、最低な事したんだ。



    “・・・・・!”




性欲を抑え切れずに騙したお前が悪い。




     “・・・・・”




どうせそのうちフレッドにはバレる事じゃないか。
 言 え よ――――




「・・・・びっくりすんなよ」
「何を今更」




さっきから肝心なところを引き伸ばされているためフレッドは若干イラつきながらもこたえる。
一息ついて、それから静かに、ジョージは口を開いた。




「・・・だよ・・・」





・・・言った・・・もう、に咎められようと構わない。
ジョージの目は真剣だった。その表情には、この片思いに対して諦めの色もある。笑おうと必死になるが、表情は硬くなる一方だった。



フレッドは、“やっぱりな”と笑顔になった。は、ロンと同じ学年の子だ。グリフィンドール寮の、可愛くて少し大人しい女の子。
ハーマイオニーと良く一緒に居る所を見かける。フレッドも何回か話した事もあった。



「やっと言ったな。予想通りっちゃぁそうなんだけど、・・ちょっと驚いた。お前らっていつからそうゆう関係?」
「いつからって・・1ヶ月前に1回だけ」
「え・・1回だけ?なんで?」



フレッドは良く分からないといった表情だった。
そりゃ、好き同士なら1回だけじゃないだろうな。


フレッドに“なんで”と聞かれ、正直ここまで言ったんだから全てを打ち明けてしまいたかった。
けど、の事を思うと言えなかった。




    “もうどうにでもなれ”




もう一人の自分が言った事を思い出した。
それでもやっぱり、の本当の気持ちは言えない。というか、言ってしまったらのフレッドを好きな気持ちを認めるようで嫌だった。



――あの日のの顔。俺の、酷い言動。腕の中で乱れるは、最高に可愛かったハズだ。でも、優しくしてやれなかった。全然嬉しくなかった。
形だけで何も残るモノなんかないじゃないか。残ったのは、罪悪感でいっぱいの心だけだ。





「フレッドが好きなんだろ?だったら俺で練習すれば」



もっと近づけるなら、どんな手でも使ってやろうって思って・・
でも本当は、冗談のつもりだったんだ。




「・・・私、初めてなの」
「そんなのヤっちゃえばおんなじさ」
「そうなの・・?そういうモノなの?」
「そう。フレッドだって、初めての女とヤルのは嫌だよ、きっと」
「ジョージは・・・平気なの?」
「俺は――・・・別にそういうのこだわらないから」



「フレッド、私の事嫌いにならないかな・・・?」
「あぁ。俺が保障するよ」
「・・・・・」
「ほら、今日も俺で練習。な?この前と同じだよ」
「仮デートの時と?」
「っそ。これも仮デートの一環」
「・・・分かった。フレッドには、言わないでね・・?」
「りょーかい」