「ハリー!」
きれいなサファイアブルーの瞳、サラサラの長髪。
瞳を輝かせて、僕らの方へ向かってくるのは、僕のすきなひと。
でもきれいな瞳に映すのはいつでも僕じゃない。僕の隣にいる奴だ。
キラキラと瞳に映すのはいつでも僕じゃない、ハリーだ。
「やぁ、。」
「おはよう、ハリー」
彼女はレイブンクロー生で、ホグワーツ1の美少女。
そんなを僕が想ったって、付き合いたいなんて願望はただの高望みでしかなくて。
(わかっていてもハリーに嫉妬して、をみつめる僕がいるのは確かだ)
かぁあっと少し顔をあかくしてから僕をみた。
可愛いとおもう半分、ハリーが憎くて仕方なかった。はきっと、いや絶対、ハリーのことがすきだ。
「おはよう、ロン」
「あぁ、うん。おはよう」
それだけいうとふいっとサラサラな髪をなびかせてレイブンクローの机へと戻っていった。
僕はボーッと後ろ姿をみつめつづけたままだった。
ボーっとしてたことに気付くのは後からきたハーマイオニーに声をかけられてからだった。
ふと気付くとハリーの頬があかくなってるのに気付いた。
きっと、ハリーも のことがすきだ、僕に勝ち目はありはしない。
(なぜなら僕はとは釣りあいそうにもないし、がすきな奴はハリーのほかにも相当いる。ただの高望みだ。)
……それでも僕は毎日のことを目で追っていた。
きっとハリーもそうしているのだろう、と思いながら。
ある日、僕は楽しそうにハリーとが話ていたのを目撃した。
(あぁ、もうおしまいだ、僕に勝ち目はありっこない。あんなに二人とも楽しそうにしているのに。)
目の前がグラグラ揺れて真っ暗になった。
その瞬間に、ハリーとが僕を呼ぶのが遠くからきこえた。
目を覚ますと目の前は廊下の天井ではなく、医務室の天井だった。
僕は手にあつい感覚をおぼえた。それと、規則的なちいさな寝息を。
「…?」
きゅ、と僕の手を握り締めて彼女は片腕を枕にして寝ていた。握り締められた手をひどくあつくて、
僕はドクンドクンとはやく鐘をうつのが僕の胸から感じるだけだった。
一瞬のあいだだった。僕は彼女にくちづけた。瞬間に襲ってくるのは優越感と、罪悪感。
それが入り混じって僕をぐちゃぐちゃにした。ふたつの感情が僕を押しつぶそうとする。
「何やってんだよ、自分」
頭をかかえこんだ、グラグラと頭痛がする。あたまが、いたい。割れそうだ。
少ししてちゅ、という音と、頬に触れた感覚が一緒だということに気付く。
振り返ると顔を真っ赤にして自分の口をおさているがいた。
「…しってた?王子様のキスで姫は目覚めるんだよ」
僕はただ、唖然とし顔をあかく染めるをみつめながらキスされた頬をおさえるだけだった。