僕の心臓はドキドキしっぱなしで、にこの音を聞かれるんじゃないかって必死で。
告白しようとしても出来ない自分がもどかし過ぎて、腹が立つ。
じれったい。
もっと自分が素直なら、自分がもっと勇気の持ち主だったら。
色んな言葉があるけれど、僕の気持ちは、いったいどうやったらに?
の心を射止められるのだろうか。
たった一発でも、ドキッとさせるような言葉を言って見たいものだ。
うっとうしいこの心臓を
「ーー!ロニー坊やが呼んでたぞー。宿題教えてくれって」
「助けてやってくれよ、我等の弟を」
「任せて! がんばるから」
は親指をつきたてながら、僕らの背中をポンッと叩いた。
ジョージといれば、普通に喋れるのに。
相方がいるから、自分が何時もの"フレッド・ウィーズリー"でいられるのに。
「見すぎだっつうの」
「後姿が綺麗だから」
「変態にはなるなよ?」
「ジョージには言われたくないって」
お互いの背中をたたきあって、最終的には手を叩きあう。
ジョージがいれば、のほっぺに軽々とキスできるのに。
俺1人じゃ、まるで二重人格の人間みたいに、自分じゃなくなる。
「お前なぁー、俺に頼りすぎなんだって」
「相棒よ、俺に力を貸そうと思わないのか?」
「思わないね。俺は人の恋路を手伝うほど優しくないんでね」
「ウッゼーー」
笑いながら言うけど、本気でウザイって思った。
でも、コイツがいなければ、俺は俺で無くなる。・・・・・あーもう!ダメ人間めっ!
「告白すれば良いんじゃねぇの?」
「そんな簡単に言うなって。俺はの前では奥手なの」
「奥手だとしても告白しなきゃ始まらないじゃないか。どう考えてもロニーは好きだし、ハリーやウッドだって。モテモテハニーを盗られても、俺は知らないから」
そうなんだよなー・・・
を見る男共の目が、オオカミ・・それ以上に輝いている。
でも、どうやったら伝えられるんだよ。
「俺に伝え方聞くなよ。双子が同じ告白方法だったら気持ち悪いだろう?」
俺の頭を叩いたと思ったら、すぐさま立ち上がって、まるで漫画のように素早く逃げた。
俺も、ジョージ逃げる姿をポカーンと見た後、すぐさま我に返って追いかけた。
・
「コラッ、フレッド!廊下は走らないのッ!」
聞きたい声ナンバーワンのの声が大さい声で聞こえる。
車のブレーキ以上に体がストップした。
「もう、私がもう少し早く歩いてたらぶつかってたじゃない。もう、間一髪だったわ」
「ご・・ごめん」
「悪戯したから逃げてるの?」
「べ、別に・・・」
ちょびっと話しただけなのに、心臓が無駄に早く動く。
に聞こえたら如何する気だよ。 ドックンドックンって・・・そんなに早く動いても、意味ないぞ?
「じゃぁ、頭にホコリを付けてまで走ってる理由は何?」
が近付いて、僕の頭にある・・・・結構デカイ埃を取る。
ジョージか・・・・さっき頭を叩いてきた時に・・・。絶対はかった!
「使われて無い教室でも言ってたの?」
あまりの大きさに、の顔から笑みがこぼれる。
その顔を一枚写真撮れば、どんな大会でも一位は取れる!というような表情。
体中に濃い血を行き渡す。だから、落ち着けって!
まるでゴリラみたいに、自分の胸板をドンドンっと叩く。
力強く叩いたせいで、ちょっと咳き込んでしまう。
「大丈夫? そんなに自分を叩かなくっても・・・痛くない?」
やった。 心の中でそう思う自分がいる。
だって、が僕の胸板を小さくなでる。 指先じゃなくて、手全体でして欲しかったりもする。
ドクドク・・・ドクドク・・ドクドク・・
うっとうしいこの心臓を、誰か落ち着けてはくれないだろうか。
止めたりするのは絶対嫌だから、せめて落ち着かせてくれ。
「わっ、なんでこんなにドクドクいってるのよ・・・」
「が近くにいるからだって!・・あ・・・・」
今まで、自分が何を言ってるのかわかっていなかったのもあって、いとも簡単に告白をしてしまった。
こんなにバカな告白の仕方があるもんか。
「だから、ドキドキしてるんだぁ・・・私もだよ?」
には大きすぎる、俺の手を胸元に当てる。
柔らかい感触に、手が固まってしまう。
「ね、ドキドキしてるでしょ? 他人には聞こえないけど、自分自身ではすっごい聞こえるから、聞こえるんじゃないかなって心配だったの。やっぱり触れたりしたら気付くよね」
俺の手は固まって動けないが、俺の首元は勝手に動いて、の唇を捕らえた。
一番触れたかった場所。
甘すぎる唇は、俺の唇で塞がっていることが嬉しい。
「あ・・・・フレッドがを襲ってる」
遠くから聞こえた、俺と似すぎてる声。
キスをしながら横を見れば、ジョージが口をあんぐりとあけて、目を見開いている。
「お前がそんなに飢餓感があるなんて・・!」
「いや、だからコレは・・・」
「フレッドがをレイプしてるぞーーーーッ!!!」
初めて、相方に悪戯をされた。
汗は大量に流れるし、遠くからは、ものすごい勢いで走ってくる男共。
「、逃げるぞ!!」
「え・・・きゃっ!」
をお姫様だっこして、鍛え上げた足で逃げる。
絶対逃げられない。だけど、を守るためなら逃げてやる。
このうっとうしい心臓は、と同じぐらいのスピードで動かしていく。
嬉しいんだか、悲しいんだか・・・。