この愛だけは.....08














「エリザ・・!」
「どうしたの?」
「その手に持っているのって・・私のじゃない?」
「えぇ、貴方のよ」
「ひ・・ろってくれたんだよね? ありがとう」


手を伸ばして、ネックレスを返してもらおうかと思ったのに、
エリザはネックレスを渡してはくれなかった。

逆に杖を向けてきた。



「・・・きゃっ!」
「アンタ、シリウスの何なの?私はシリウスの彼女なんだから、アンタの存在が邪魔なの」
「別に渡し、シリウスを盗ろうなんて思ってないって・・・」
「じゃぁこのネックレスはなんで持ってるの? 私、今まで何も貰ったことないのに・・・なんでアンタなんかにあげなきゃいけないのよ!」


エリザはペンダントを崖の向こうへ投げつけようとしていた。
だけど、そんな事させたくないから、エリザの腕に抱きついてやった。



「気持ち悪い! なにすんのよ!」
「ソッチがなにしてんのよ! ペンダント返してくれたって良いじゃない! ただのペンダントなのよ!」
「シリウスは私のモノよ!!」


指先まで捕まえることは出来なくて。
湖の方へ向かって、手首だけで投げた。


「や・・・ちょっと・・・・ッ!」



エリザから離れて、ペンダントを追う。
だけど、あとちょっとの所で手から逃れていく。








"ガササ・・ッ"






「あ・・・ッ」
「ざまぁ見ろっての!」


アハハ! と笑う声が、腹立たしくて。
此処に箒さえあれば取りに行くのに。




湖の中に落ちた・・・・?
急いで崖の先っぽから除いてみれば、湖に落ちた形跡は無く、自分の身長の2倍ぐらい離れた所に生えてある草にキラッと光るモノが見える。

良かった・・・落ちてなかった・・・


「落ちたみたいね。」
「ついでにアンタも落ちたらどう?」
「葬式ぐらいは出てあげるわよ? 嘘泣きしながらシリウスと一緒にね」



両手を叩きながら笑って、足元の大きな石を投げる。
足元に当たったり、小さな石が頭に当たったり。


いつもなら、言い返してる。
酷い時ならグーパンで2発ぐらいイっちゃってるのに。




何にも出来ない。
自分がどうすればいいのか、わからない。
私がいけないの? 私がシリウスと仲良くしようとしてるのがいけないの?


好きな人に恋人がいても、恋愛感情を持っちゃいけないなんて、誰が決めたの?



「アッハッハッハ!!」


大切なものを投げられて。
笑われながらも、ひっかかったペンダントをじっと眺める。




「落ちちゃいなって」
「葬式は出てあげるって言ってるんだからサー」



自分自身が、見えなくなってきた。