この愛だけは.....10
シリウスはそのまま私の背中を押しながらも、連れて行った。
「シリウス・・・エリザを信じなくて良かったの?」
「じゃあなんだー? お前は本当にエリザに『邪魔よ』とか言ったのかよ」
「そんなの言ってるわけないじゃない!」
「だったら良いじゃないか」
「良いには良いんだけど・・・・彼女より私を信じるのって・・・」
「エリザとはホグワーツに入ってからしか知らないんだぜ? でもは家も向いだった訳だし。の性格だろーが、趣味だろーが、癖だろーがエリザの事よりも知ってるさ」
「ストーカーみたい」
「お前だって知ってるくせに!!」
シシシッと笑いながら、ズボンのポケットに手を突っ込む。
うん。
いっぱい知ってるよ。
考え事をすると襟髪を触ってしまったり、
何かのボタンを押す時に中指で押しちゃうクセとか、
家で飼ってた犬にファーストキスを奪われたりだとか、
いーっぱい知ってる。
「そうだよねぇー・・・・ シリウスは昔っからズボンに手を突っ込む時、親指だけ入れるもんね〜」
「何!?」
「格好ついてないのにね〜」
「いやいやいや、バリバリ格好ついてるぜ?」
「有名じゃないブランドのモデルかッ!! って思っちゃうもん、いっつも」
今日はじめての笑顔で、シリウスと話す。
シリウスといれば、絶対笑顔になっちゃう。
シリウスパワーすげぇや。
「そーゆーだってさ、眠たい時に限って欠伸を手で隠そうとするじゃん!!」
「オンナノコだったら普通にしますー!!」
「欠伸しながら涎垂らしそうになってたのが女ねぇ・・・」
「涎だって垂れるっちゅーの!! 口の中に誰だって幾らだってあるし!!」
「汚ねー」
シリウスが私の首に手を回して、前に進む。
ぶっとい二の腕が私の目の前にあって。
めっちゃくっちゃ触りたくなるんですけどー。
「シリウスも筋肉質になったねぇ・・」
「そりゃあれだけ筋トレしたら、腕も太くなるぜ?」
「太すぎでしょ。手首は細いのに・・・羨ましい」
話の流れで目の前の二の腕を掴む。
「でかいし・・・硬いし・・・ 男っぽい!!」
「普通だろ。でもまージェームズよりかは太いかな。昔はには身長とか全部負けてたのに、いつの間にか勝ってるぜ? も女だったって訳ね」
「だから女だってばー!!」
「背もちっせーし、ウエストも細いし、肩幅も小さすぎるし・・・・いつの間に!!」
「気付くのが遅すぎー!!」
昔は私が背でも身長でも成績でも全部勝ってた。
なのに、今は成績でさえも同じぐらいになってきた。
少しばかりの虚しさが残る。
「これで一緒だったら文句無かったのにねぇ・・・」
「・・・へ?」
・・・・・・・・・。
「あ、いや、これは別に・・・別に・・・・・」
こんなオドオドしてたらバレを認めてるだけじゃん!!
「・・・・・・・・・・・・・じゃ!!」
逃げ出すようにシリウスの手から逃げ出し、走り去った。
後ろからシリウスの視線が感じる。
見てくんな、アホーーー!!!
「パンツが見えるように逃亡しなくても・・・」