この愛だけは.....01
それは、なんの前触れも無く訪れた。
シリウスに彼女が出来た。 私じゃない。 別の女の子。
シリウスとは幼なじみ私に、ジェームズ達より逸早く教えてくれた。
ニッコニッコした顔で、歯を煌びやかに見せてくれた。
「俺、彼女出来たんだ!」
その言葉が、どれだけ辛いことか。
安心してた自分がバカみたい。 なんでもっと早く告白しなかったの?
分厚い扉と、大きな壁が私の前に立ちはだかった。
叩いても開けてくれない扉。 叩いてもビクともしない壁。 さて・・・どうしようかな。
「なぁ、! あれが俺の彼女ッ!」
シリウスは容赦なく私に近づいてきて、見えるように低くしゃがみ女の子を指差す。
綺麗な目、金髪なのにすっごくサラサラで、皆みたいにクルクルッとなってない。
大人しそうだけど、男を落とすテクをしってそうな表情。
シリウス・・・・どこがいいの? あんな女。
「シリウス! お前に彼女が出来たんだって?」
「しかも、あんな良い女ッ!」
「まぁリリーには負けるけど」
「黙れ、リリーストーカー」
「あの子よりも可愛いなッ!」
ジェームズの冗談が始まる。
ちゃんと・・・返さなきゃ。 変に思われちゃうよ。
「私より・・・可愛いよね」
笑顔で言ってつもりだけど、やっぱりモロバレ。
ジェームズは機転を利かして話し始める。
「ま、まぁも可愛いけどね」
「・・・はいはい。そんな事いっても何も出ないからね?」
やっと何時もの私になれた。
笑った顔をして、ジェームズの腹を力なく殴る。
「子供が出来なくなるじゃないッ!」
「オカマは黙らっしゃいっ!」
「リリー!が極道の道に行こうとしてるー!」
簡単だから。
無理矢理笑っておけば、シリウスは彼女がいてもコッチにいてくれる。
それからシリウスを取り返せば良い。