Prisoner of Azkaban.....08
ドラコの状態も結構大丈夫そうだったが、大袈裟に包帯を巻かれた。
私たちは、次の授業も一緒だからと今年になって始めて受ける、闇の魔術に対する防衛術に一緒に向かった。
新しい先生なのもあって、どんな授業かは不安だけれどもルーピン先生はどことなく楽しいことが好きそうなので、期待が持てる。
「今年から新しい闇の魔術に対する防衛術の先生になった、リーマス・J・ルーピン。僕は授業には楽しさがないと生徒達は勉強をするのを諦めてしまう、と思ってるんだ。だから、今日はとっておきの授業さ。今日はノートも羽ペンもいらないよ。ただ、笑ってもらうか!」
私たち全員を立たせ、大きな箱の前に移動。
「この箱に入っているものがわかるものはいないかい?」
「箱を見て分かれって言うのも無理じゃないか?」
ロンの嫌味たっぷりのセリフ。
「「ボガートよ」」
私が言ったら、声が重なる。
「ハ・・ハーマイオニー!! 何時からいたの??」
「ずっといたわよ」
「――で、お2人はボガートについて説明できるのかね?」
「「出来ます」」
「ボガートの姿は誰も知りません。」
「それは人によって姿を変えるからです。見た人物が一番怖いと思うものに変身します」
「形態模写妖怪に分類されるはずです。ボガートを退治させられる呪文は "リディクラス"!」
「でも、その術だけじゃだめなんです。呪文を言った時にそのモノを『面白く』させなければ意味がありません」
「その通り、グリフィンドールに15点。じゃぁ・・・ネビル、君がまずチャレンジしてみようか」
ネビルは、何で僕が!?という顔をしながら目を見開かせる。
「ネビル、君の怖いものってなんだい?」
「・・・・スネイプ先生」
「おぉ! スネイプ先生ねぇ・・・まぁ生徒からしたら怖いだろうね。じゃぁ、僕が考えるとしたら・・」
そう言うと、ネビルに耳打ちをする先生。
「えぇ!?」
「大丈夫さ、君なら出来る」
ネビルが困ったように箱を見つめながら、杖を出す。
ルーピン先生も笑いながら顔を箱を開ける。
もっと気味が悪くて、うねうねと変身するものだと思っていたのに扉から出てきたのは見慣れているスネイプ先生。
「さぁ、ネビル。思い浮かべて」
「・・・・・・リディクラス!!」
ネビルが震え声で言うと、"スネイプ"がくるくると回り出す。
回り終わったかと思えば、服は緑色のはずなのにどこかカビくさそうな服装で、帽子でさえも何故か鳥の剥製がある。
皆がゲラゲラ笑い始める。だけど、目の前にいる背の高い男の人のせいで、まったく見えない。
「じゃぁ、皆やってみるかい? 一列に並んだらいいよ」
そうすると、流されるように動く。
「痛い・・・・痛いってば・・いっ・・!!」
誰かに突き飛ばされた。
真後ろにボガート。
パーバティが面白く変身させていたが、後ろでギシギシ揺れているものになにも好感は持てない。
パーバティより前にいるのは、私。
だから、ボガートの標的も私。
くるくると回り、出てきたのは・・・
身体中に燃え盛る火に包まれた、人間。
「あ・・・あ・・・・・」
ママだ。
あの夜、幼い私が見たママ。
家の中で燃え盛りながら、必死でもがいてたママ。
私のせいで死ぬ事になったママ。
「あ・・・・嫌・・・あ・・・・」
ハリーがすかさず私の体を抱きしめて、力強く抱きしめる。
「嫌・・・あ・・・」
「、あれはボガートだよ!! 偽者だから!!」
「・・ママ・・・ママ!!!」
「ボガート、私を見ろ!!!」
先生が僕達の前にでる。"ママ"がまた姿を変えた。
暗闇の中で光る月。
「、落ち着くんだ・・・落ち着いて・・・」
「いや・・・あ・・ッ!! ごほ・・・ごほごほごほ!!!」
息が出来ない。
苦しい。
「過呼吸よ、ハリー!!」
「過呼吸って!?」
「もう!! だれか、袋を持ってきて!!」
「袋って・・・・そんなモノ持ってないよ・・!!」
「早くしないとダメなの!! 心因性のパニックから出たり、恐怖心やストレスから出たりする呼吸の病気みたいなものよ!! はやく!!」
「ごほごほ・・・ごほっ!!!」