ハリー以外の人を、こんな気持ちで見つめるなんて思いもよらなかった。
私は、ハリー以外の男の人を知らないんだもん。



この年になると、筋肉のつき方もまったく違って大人になっていく異性。





ハリー以外の男の人を知るチャンス と思ってしまう、自分がニクイ。




















  Prisoner of Azkaban.....06




















「はやく来すぎたな」
「始まるまであと46分・・・」
「じゃぁあとその46分をどうする?」
「どうするっていっても・・・・あの坂道をまた登るなんて面倒くさいし・・それぐらい待っておく?」
「待つだけじゃ暇だろ。」
「でも、遊び道具だって持ってきてないのに」

「"怪物的な怪物の本"、開けてみるか?」
「これ、見た感じで危ない感じするんだけど」


少しビビっている私を笑いながら、ドラコが本を開ける。



「・・きゃっ!!」

封を開けた瞬間、飛び掛るように動き出す本。



「な・・なにこれ!!」
「さすがハグリットが選ぶ本だな。本自体も珍しく、荒々しい」

石の上にのぼり、逃げている私。それを見て、ドラコは賺さず本を捕まえて、封を締める。



「これじゃ、教科書を読むことすら出来ないよね・・・」
「まぁ、なんか方法はあるだろう。いちいちそんな行動をするのは面倒だがな」
「もう暴れない?」
「封をしたから大丈夫さ」

ドラコは地面に教科書と鞄を放り投げる。


「もう降りて大丈夫さ」
「・・・・・・・」
「ビビんなよ」

私が立っている石に腰を降ろすドラコ。少し不安に思いながらも、その場にしゃがむ。



「なんでそこなんだよ」
「だって、暴れたら怖いじゃない」


目の前に座っているドラコに後ろからお腹を抱きしめながらしゃがむ。大きくて広い背中に顔を当てる。ドクドクと早く動く心臓には不釣合いな感じの大きな胸板。引き締まったお腹は私自身とは大違い。










「落ち着く・・」


私のこのセリフに、ドラコの心臓音が早まるのが分かる。

「ずるいぞ」
「ずるくないもん・・・いっつもドラコ、私の後ろにいるじゃん。今日は私が後ろ」
「男は女に抱きしめられるよりも、抱きしめるもんなんだよ」

ドラコの服を握っている手をほどいて、私のほうを向く。


は俺に胸の中にいればいいんだよ」



引っ張られて立ち上がらせられる。

まだまだ私たちは子供なのに、これほどまでにも体格も身長も変わってくるもんなのだろうか。私はどちらかというとチビで華奢なのに、ドラコは筋肉質で身長も高い。そして、子供のような丸い顔から面長の顔になっていく。成長って凄いな・・と思わず笑えてしまった。


「なんで笑うんだよ」
「ドラコもでかくなったなーって」
は俺の親かっつーの。親にはこんな事したくねーよ」



腰を曲げて、私の唇にキスを落とす。驚いて突き放そうとした手を、捕まえられ、優しく握られる。

この人はどうやって、こんなキスを覚えたんだろう。
誰に教えられ、誰かに褒められたりしたのだろうか。

こんな事を夜になったら考えてしまい、泣きそうになる。でも、またキスをされると忘れてしまう。頭って、単純ね。



「可愛すぎだ」

キスの合間にそういうドラコの顔は真っ赤で、白い肌が徐々に赤く染まる。




「ドラコのばか・・・」
「なんだそれっ」

抱きしめる手は強く、男を感じた。

















 ・















「あちゃー・・」
「結構マルフォイも大胆なのね」
「ハーマイオニー!! 君は良くそんな態度でいられるな!」
「だってしょうがないじゃない! の気持ちは私たちが決めれるものじゃないし、選ぶのはの自由よ!」
「だったら、このままで良いと思ってるのかい?」
「良いじゃない、好きなら好きで付き合っても!! 私は賛成はしたくないけど、が決めた相手なら、スネイプだろうとダンブルドアでも応援するわよ!それが友達ってもんでしょ!」


勢い良く話すハーマイオニー。



「スネイプって・・・あんな年増な男でもOKなのか! そりゃ凄い頭の持ち主だよ」
「ありがと、貴方みたいにガッチガチの頭じゃないから良いわよね」
「なんだよそれ、・・・・・・なんか言ってやれよ、ハリー!!」
「ハリー・・・?」



喧嘩をしている声は聞こえてたけど、僕には雑音にしか聞こえなかった。

その光景を見るとき、僕は瞳孔が開いて目玉が飛び出るほど、大きく眼を開いた。
心臓は止まる寸前だし、胃酸があがって吐き気まで催しそう。




「ハリー・・・悲しいの??」
「そりゃ悲しいに決まってるさ! 僕だって、悲しいんだから」
「ロンは黙ってて!!」


僕は大泣きはしなかった。
だけど、一筋だけ涙が流れた。