Graduation party....02














『始まりましたーフィーリングカップル!卒業する前に一番最後に恥ずかしい事をしちゃおうぜー!』
「「「イエーーイ!」」」


いや、イエーイって・・・ ちゃっかりと突っ込める所を作るのね。ジェームズもリーマスもノリノリだし・・・単細胞め。
ガッツポーツを掲げてるのは、ブサイクな女の子集団と、騒がし女子集団と、男子全て。

騒ぐことが嫌いな私達にとって、面倒くさいに越したことは無い。


『まずは・・・誰にしよっかなーv ・・・じゃ、ピーター!』
「え・・ぼ、僕!?・・・僕は・・いないよ・・、誰も!」
『嘘言うなって、お前はいつもあの子の写真持ち歩いてるじゃないか!』
「い、言わないでよ・・・シリウス」
『この際だから告っちゃえよ!』



ガタガタ震えながらも、ジェームズに押され舞台の上にあがる。


『さぁ、ピーターの好きな子は誰かなぁ?』
「あ・・・・・・・リンダ・ウェールズ・・」


小さな声ながらもそう言う。全体から「えぇーーーッ!」と言う叫び声。
どうせ、他の人だったとしても言うだろうに。 そりゃ少しは驚くけど・・


「良いわよ、付き合っても」


・・・・・えぇッ!!
コレには私もリリーも声をあげてしまった。リンダって・・結構美人な方なのに・・・・こんなにアッサリと・・・


「ねぇ、リリー」
「何?」
「もし・・・もしだけど・・、私に告白してくる人がいたら、あんなふうに簡単にOKすれば良いのかな」
「シリウスに?」
「な、なんでシリウス・・!?」
「バレバレよ。隠してるつもりだったの?」


リリーはクスクス笑いながら、片目で私を見る。
そんなに面白かった?



「簡単じゃなくても良いんじゃない?嫌なら嫌で良いし、付き合いたかったらハグでもキスでもしちゃえばいいじゃない!」
「そんな簡単に言わないでよ・・・」
「可愛い可愛い。シリウスの前でいっつもそんな風に照れてたら良いのに」
「もーーッ!」


顔を隠しながら、リリーの方へ項垂れる。
大きな声で言わなくて良いし、笑顔で言わないでよ・・・。











「なぁ、シリウスばっかり良い思いせずに、お前には好きな人いないのかよ?」
『ハァ!?』
「シリウスずるいぞー!」


リリーとキッスを済ませたジェームズは万遍の笑みでシリウスを問い詰める。
そうだそうだ とその場にいる人が声をあげたり、拍手をしたり。
戸惑っているシリウスの姿に少し期待をしてしまう私。ドキドキする理由もわかってる。私って言って と心の先から叫んだ。



『いねぇよ。俺、女に興味ないし。ジェームズだって知ってるだろー』
「確かに。お前に女は似合わん!」
『失礼なー!』


突っ込んだりボケたりで、少し沈んでいた会場を盛り上げる。寮内に暖かな雰囲気になっているんだけど、私は笑えなかった。

好きな人がいないってことは、私の事なんとも思ってないってコトだよね・・。
はぁ・・・期待しなきゃよかった。
















イベントもいつのまにか終わった。
何人かに告白されたけど、「無理」って答えた。シーンとする寮内をシリウスとジェームズが盛り上げる。

盛り下がるのはわかってたけど、そんなんでOKするような馬鹿じゃないし。
シリウスにそんな人って思われたくないし・・・。



「凄かったなぁ・・・があんなにモテてるとは思わなかった!」
「あ・・・うん」
「元気ないぜ? いつのまにかボーーっとしててサ。なにかあったわけ?」


アンタのせいだっつうの。



「好きだった男を他のやつに取られたりしたわけ?」
「違うよ。」
「自分で告白したかった?」
「うん」
「だ・・・誰に?」


なんでシリウスが焦るの?


「もうフラれたってわかるもん。」
「そんなのしてみなきゃ分からなくね?」
「フラれてるって分かってるのに告白するほど勇気ないよ」
「じゃぁ、俺も告白しようかな」

「はぁ? シリウス自身がいないって言ってたじゃん」
「俺は好きな人いるぜ?」


眉間にシワを寄せた私に近付いて、唇にチュッとキスをする。
・・・・・・どして?


「・・・・・・」
「驚かないの?」
「声が出ないほど驚いてるの」


シリウスは何にも言わずに私をぎゅぅ と抱きしめて、背中をポンポン叩く。


「俺は恥ずかしがりやだから、みんなの前で告白なんで出来ません」
「自分達が考えた企画なのに・・・」
「他人の不幸せは大好きなの」
「あ・・・そう」

「俺はの事がすっげぇ好き。 でも、みんなの前でキスするほど勇気ないし・・・・だからその後でって決めてたワケ。」
「なにそれ・・・・私、すっごい凹んでたのに」
「あ、やっぱり?俺があぁ言った時からすごい凹んでたから、やっぱりって確信できた」
「図ったわねぇー!」
「結果オーライってコトで。」
「ズル・・・ッ」






「今からいっぱいキスしてやったら許してくれる?」
「"やったら"じゃなくて、しないといけないの。」


それから何回も押し付けるようにキスをしてきた。
頭を押さえつけられて、シリウスの舌は口の中に入ってきて。

温かいシリウスの舌。 頭の中がクラクラしてしまう。



ずっと、キスしていたくなる。