- お粗末 -
廊下から微かに聞こえる話し声。
ベッドから起き上がり時計を見ると、それはもう午後の九時を指していた。
あー… 夕飯食い損ねた…
もぞもぞと毛布にくるまった俺は、ちらりと隣のフレッドのベッドを見た。
そこは寝る前に見たときと、まったく変わってなくて。
…寝てないのか?
しかし気付けば、バスルームからザーザーとシャワーの音が聞こえていて。
様子を見に行くとか、シャワーを止めるとか、そんなことがちらりと頭をよぎったが、
はっきり言って"面倒"で。
…風邪引くなよ?
たぶんどうせバスルームで寝てるフレッドに呆れつつ、俺は再度眠りについた。
「大丈夫、爆睡してるみたい。」
「あれ? フレッドはどこ?」
「んー あッ いた! 風呂場で爆睡してる!」
「お風呂場なんかでよく寝れるわね…」
「って! 来ちゃダメだってば!」
「な、何よ、別に見たって減るもんじゃないじゃない!」
…うるさい。
暗い部屋の中、その人物達は小さな明かりを持って俺達の部屋を歩き回っていた。
ロンと。
奴等は何をしてるんだ?
あー… だけだったら今すぐベッドに連れ込むのに…
ぼーっとそんなことを考えながら、
俺は小さな欠伸(あくび)をすると毛布にくるまった。
「…今、欠伸(あくび)しなかった?」
「え? 僕してないよ?」
「ロンじゃなくてジョージ!」
「そぉ? まぁ、寝てるんだから欠伸(あくび)くらいしてもいいだろ?」
「欠伸(あくび)したってことは、今にも起きそうってことなの!」
…奴等、俺達を起こさないようにしてるんじゃないのか?
さっきからデカイ声で喋ってるけど…
だんだんと覚醒してきた脳で、俺はそんなことを考えていた。
ギシッと軋むベッド。 そして微かに沈む体。
「ジョージ〜 起きてる…?」
の呟くような声が聞こえる。
そして(が手を着いたのか)左耳の脇が沈み、俺の顔は少々左に傾く。
「起きてる…?」
すぐ近くで聞こえたの声。
微かに彼女の息遣いを感じる。
あ… やべ… 押し倒したい……
そんな性欲と葛藤すること数秒、ロンの不服そうな声が聞こえた。
「、そんな近くで確認しなくてもジョージは寝てるよ。
さっさと投下して談話室に戻ろうよ。」
「そうだね。」
ベッドが軋み、が立ち上がる。
くそッ ロンの奴余計なことを…ッ!!
もうさっさと起きてることバラして、
ロンを部屋から追い出してをベッドに連れ込むか!?
そんな爆発気味な妄想をしている俺に、
ロンの衝撃的な言葉が聞こえた。