僕の宝物、この手にひとつ。






小さい手は僕の心にある愛おしさという感情をふつふつと出現させ、

二重の綺麗な目が、他人を見ることさえも嫌だと思わせる。






もっともっと僕の物になれ。



そして、僕しか見えなくなってしまえばいい。






僕の願いはたった2つ。




僕から離れないこと。



そして、










人魚姫のように消えていなくならない事。

















  Not cry, My Angel....31

















「あーーーーーーーー!! 疲れたーー!!」
「黙らっしゃい!!」


久しぶりの高いヒールは疲労を蓄積させ、キチッとした服のせいでずっと緊張し肩の筋肉が固まってしまっている。豪華ではあるが、こんな楽屋にあるソファに寄りかかっても疲れなんて取れやしない。だが、はそのソファに飛び乗り、人気タレントとはかけ離れた声を上る。

そして、雑誌を丸めたモノでマネージャーに頭を叩かれていた。



「女の子がそんな股を開かない!」
「開いてないもん、ダンが開かせるんだもん」


その言葉に、僕は飲んでいたコーラを噴出しそうになる。


「ダンがそんな事するわけないじゃない!! シャキっとしなさい!! この後、貴女は雑誌の撮影、インタビュー、テレビ番組の収録だってあるのよ」
「無茶を言う・・」
「無茶じゃない!! 日本人は金持ちなの。稼げる時に稼ぐ。出るときには出るの精神で頑張りなさい!」


引きずられながらもメイク台に座らされ、合計13人のメイクさん、アシスタント、スタイリストなどに一気に囲まれていった。



「アイラインが取れないわ!」
「ちょっと!! 口紅は8番じゃなくって9番よ!! 白い服にこんな紫みたいな口紅なんかつけたら幽霊じゃない!」
「灰色とこげ茶のブーツはどっちがいいかしら」
「明々後日の番組収録は、ワンピースを変更して、ドット柄の服に変更よ。ジェシーに持ってくるように伝えて」


同じ楽屋なのに。
たかが3mぐらいなのに、こんなにも人口密度差がすごいって、ある意味素晴らしいね。



僕なんて明日は番組収録で、明後日はたった2時間ぐらいのインタビューと撮影だけだ。
僕も、まだまだ と伝えられているようだ。



、寝ないの!!」
「むー・・・・ もぉ・・・」


自身も疲れているだろう。
まだクマは出来ていないけど、このままだったら幽霊もビックリのクマが出来るだろう。



僕は立ち上がる勇気を少しだして、の元へ向かった。
色々なスタッフに肩が当たったり、肘が当たったり。

なんとか滑り込むようにの足元の近くへ行った。


、疲れた?」
「結構ね・・・」
「熱は無い?」
「大丈夫。風邪は引いてないし」
「でも赤いよ」
「チークをしたからだと思う・・・どうしたのよ、ダン。」

「心配なのさ。は僕のお姫様だからね」
「お姫様って言いすぎだよ」
「言い過ぎじゃないよ。なら充分お姫様で通用する」


そういって、まだ口紅を塗っていないの味を軽く堪能した。



世界中すべての男が僕を殺すぐらい憎くてもいい。

君がいない という事だけは嫌だけど、それ以外の絶望だったらなんでもしてやる。なんでも体験してやる。この子だけは絶対失いたくない。



「人魚姫のように、消えちゃわないでよね」
「人魚姫?」


クサイ と言いたげなの顔をそっと顔でなぞる。

僕達とはまったく違う顔のカタチ。
日本人のようなノッペリした顔なんだけども、そのノッペリをいい様に使っている顔立ちで。


そういえば、日本人は世界でもブサイクな民族 と良く言われているらしい。
を見てそんな事いえるのか? と、問いただしてみたい。

こんなに素敵な子なんていない。
世界中の誰よりも、黒髪が似合う素晴らしい子だ。



「ダン。どうしちゃったのよ」
「離れちゃだめだよ」
「離れないわ」


目と目が合わない。
アイメイクをしていて、僕のほうなんて見ていない。


だけど、僕達が繋いでる手の温もりが誓いを立てているようにぎゅっと握っている。


「ダンの手って毛深い」
「そりゃそうだよ。僕だって男だ」
「うん・・男の子の手・・・私と違って、毛もいっぱい生えてるし、ゴツゴツしてる」

みたいな手からしたら、こんな手なんて・・」
「変な話だけど、例えば手を売っている店があるとしたら、やっぱり毛深くないスラッとした手を買うかもしれない。だけど、それがダンって分かったら、何億でも払ってでも買うわ。それほど、ダンっていうブランドが好きなの」
「わお、僕はブランドなのかい?」
「ダンっていうブランド。私しか買っちゃ駄目なブランドなの」



私もクサイわね と笑いながら、僕の指を軽く引っ張る。


、コッチ向いて」


メイクさんにグイッと顔を引っ張られる。
その動きがちょっと面白くて、僕は噴出す。



「愛してるよ、



僕がそんな事いうもんだから、がニヤえてしまってマスカラが眉毛の少し上についてしまった。



「もう、ダン!! 邪魔するなよー シッシッ!!」

ディーンがふざけた顔でダンを軽くあしらう。



「良いだろ、ディーン。僕はのお守りさ」
「だったらポケットにでも入っとけ」






















++言い訳++

地味ですが、こういう所を書いてみたかった(ぇ

あしらわれてるダン、そしてそんな事をされてまで笑っているダン。
・・・・・良いですなぁ〜・・・(妄想を現実にしたいお年頃←

お気に召したら、コメントなどを下されば光栄です><