誰にも教えていなかったのに。


どうしてこんなに記者がいるんだい??







  Not cry, My Angel....28







サングラスや帽子で顔を隠してたりはしたが、
有名な俳優・歌手が歩いていれば例え顔を隠そうと、雰囲気で分かってしまったのだろう。

僕等が荷物をもって、手を繋いで出てきたら、フラッシュの嵐が飛びまくった。


不意打ちもあってか、目が開けられない。



「どうして分かったのかな・・」
「早めに行くなんて誰にも言ってないのに・・・あ・・ルパートに言った」
「・・また喋ったのね」
「多分・・」


はフと笑って、サングラスと帽子を撮った。

何時もよりは適当なメイクだったけれど、やっぱり業界人は違うな。



メガネを取る仕草さえも一般人なんかとは比べ物にならない。





『どうしてお2人だけで来たんですか!?』
『いつからのお付き合いですか!?』


ボディーガードもいないため、誰も止める人がいない。
凄い勢いで僕等に近付いてくる。


それに、僕には日本語が分からない。
"こんにちわ" "もしもし" ぐらいなら分かるけど、話す言葉なんて分かるはずがない。




『ごめんなさい、今はプライベートなの。勿論仕事のために来たけど、仕事をするまでは私たちのプライベートです。質問等はジャパンプレミアの時にでも答えさせてもらいます。それまで、質問には答えられません』


が突然僕の知らない言葉を発した。

そうか、忘れてた。
はアメリカ生まれだけれども、両親は日本人だっけ。
日本語がペラペラで当たり前か。



のキチッとした日本語に、記者でさえも戸惑っていた。


『じゃ・・じゃぁ、ファンに一言だけお願いできますか?』
『えぇ。』

「なんだって?」
「日本のファンに一言どうぞ ってさ」
「あぁ、そう言うことか。」



まったく考えていなかったから、言葉をとちりながら話した。
僕は英語だけれども、は日本語。

日本語・・・覚えよっかな。





それからは、プロデューサーのデイヴィッドの言う通りに、
迎えの車が来て、真新しいようなホテルの一室に連れて行かれた。


「んー・・・綺麗なんだけど・・」
「不満なの?」
「不満なんかないわよ? こんなに綺麗なホテルなんだから! でも、肩がこりそうじゃない? 少しで傷付けたらすっごい怒られそうだし」
「確かに・・・お風呂とベットしか使えなくなりそうだよね」


「外・・出てみる?」
「一般人に見つかるよ!」
「少々見つかっても良いわよ。芸能人だって遊びたいもの!行こ、ダン!」



からのお誘いを断れるわけが無い。


嬉しすぎてすぐさま承諾してしまった。

異国の地のデートってすっごいワクワクしてきた。