Not cry, My Angel....20








からの電話の事もあって、僕は真剣に役になりきった。
・・・・6回ぐらいNGを出したけど。 ルパートとエマとデヴォンにジュースを奢らせられた。ちぇ。


今日は僕のマネージャーは来てたけど、エマとルパートのマネージャーは別会議で遅くなるのもあって、
僕のマネージャーが2人を乗せていくつもりだった。

2人は遠慮せずに堂々と乗り込んだせいで、一番端っこで肩が狭い思いで座った。




早く帰ってからの電話を待ちたいのに・・・。
僕が一番最後になっちゃうじゃん。しかもこういう時に限って、渋滞。
こんな時に、から電話がかかってきたら・・・



 ブルルルル ブルルルル


仕事の時だったからバイブにしていた携帯が、いきなり動き出す。



「わ・・ッ!」

手から携帯が落ちそうになったのをすかさずキャッチして電話に出る。



『ちょっと早かった?』
『んー・・まぁ別に良いかな』


ちらりと横を見れば、ルパートとエマはメールしながらお互いの会話に華を咲かせていたし、
運転席から後部座席には、ガラスがあるお陰で窓を開けない限りお互いの会話は聞こえないので、安心して話を続けた。




『んで、話って何?』
『ダンって、私にやめて欲しいって思ってるのよね?』
『まぁ・・思ってるよ』
『私ね・・・・』


が続きの言葉を言う前に、僕には、なんだか理解できた。







『芸能界をやめようと思うんだ』



やっぱりね。
少し、ガッツポーズしちゃったよ。



『うん』
『驚かない?』
『ファンの人とかルパート達とかは驚くと思うけど、僕は驚かないよ。むしろ、嬉しいかも』
『でもね、タイミングがわかんないの』
『ハリー・ポッターの公開が終わったら・・は?』
『月日を考えてみたら、その時には43枚目のシングルが出すかも・・・』
『じゃぁ、公開して1週間ぐらいだったら良いんじゃない?』
『それぐらいかなぁ・・・・』


『でも、良いの? タレントが勝手に辞めても・・』
『辞めるか辞めないかは、私の身だから、勝手だと思うの。そりゃ、色んな人に迷惑はかかるかもしれないわ。でも、自由の権利を主張したいの。精神的にも疲れたし、これ以上したら自分じゃなくなりそう・・・』



暗い声で、僕にそう伝える。


『後ね・・・ダンに言いたい事があるの。別に、悪いことじゃない・・・と、思うんだけど・・』
『何? 言ってみて』
『私とね・・・あー・・・・私と・・・結婚してほしいの』
『・・・・・え!?』


「わっ!」
「ダン! 急に大きな声出さないでよ!」
「ごめん。けど、そんな場合じゃない!」


横にいるエマに背を見せるように体を動かした。





『ダメ・・・かな?ダンも私も17よ? 結婚できる年だし、私には頼れる家族がいて欲しいの。結婚は出来なくてもダンと一緒にいたいの』
『でも、そんな突然には・・・・』
『頼れる人が欲しい・・・私は、ただそれだけよ?』
『わかった。結婚しよ。家に帰ってから、また電話していいかな。頭ン中整理したいし・・』
『えぇ、待ってるわ』

『愛してる』
『私もよ』

そういって僕は電源を切った。


・・・・結婚かぁ・・・ 絶対周りの人に騒がれるだろうな。




「おいダン・・・結婚ってどういうことさ!」
「どうせ相手はでしょ!」
「どうやったら結婚って結果になるのさ!」
「人の電話を聞くなよ!」

「真横にいれば聞きたくなくっても聞こえるっつうの」
「相手の声までは聞こえなかったけど、確実にでしょ!」
「「ちゃんと説明して!」」


すごい剣幕で近付いてきた。


「待って・・・・ 僕自身も整理が付いてないから・・」



心臓ドキドキで、体が震えている。
と、結婚・・・ 考えても見なかったけど・・・ なんか、嬉しい