Not cry, My Angel....18







・・・」


は、涙を流さないまま僕にすがり付いてきた。
イチャイチャするよりも、ずっと嬉しい。

何回もキスしていようとも、それで愛の大きさが決まるわけでもないし、
僕に寄りかかってくれてる方が、存在を許されてる気がして嬉しい。



あと15分・・というリミットが、遅く感じる。

といると落ち着き、まさに骨抜き状態となって癒されるんだろう。




「・・・・スースー・・」


は赤ちゃんみたい。
信頼してる人にしか寝顔を見せない。
やっぱり、写真集にのっている寝顔とはまったく違う。

唇は半開きで、作られたまつげじゃなくって、本当の長いまつ毛がクルッとなっていて、
全てに触れたくなる。


僕は自分の親指での唇をなぞる。

プクプクした感覚に、体中がムズムズしてしまう。



「・・・・芸能人なんて、やめてくれれば良いのに」


言葉が勝手に出た。
勝手にって事は、心の奥で自分が気付かなかった気持ちなんだろう。

「自分のアホ」


少し溜息をついて、指を這わしていた唇に吸い付いた。


「・・ン、っ・・・・」


僕の唇から離れた瞬間に聞こえる、甘い声。

男だから。
の彼氏だから。


もっと聞かして、もっと声を出して。



「・・・ダン・・?」
「僕以外、こんな事させないよ」


開いている鎖骨部分に、僕はタコみたいに吸い付いてやった。
っていっても、撮影に影響するような事は出来ないから、吸い付いてるって言っても小さな力で。



「ゃ・・ッ・・」


くすぐったいのか、気持ち良いのか分からない声色で叫ぶ。


「ね・・ダン、どうしたの? 焦ってる・・?」



の言葉が、何故か心にグッと来た。確かに僕は焦っているのかもしれない。
どうしても、は一流芸能人。
という事は、ファン層も広く、誰もがの存在を知って認めているという事。


僕だけのだ と大きな声で叫びたくなり、
ウザイほどの独占欲が、体の中でゴチャゴチャしていたんだろう。だから僕は焦ってたんだ。



「ねぇ、・・・・・」
「何?」

「芸能人をやめるって、考えたことある?」



「私に、やめて欲しいって思う?」