Not cry, My Angel....16








僕はと手を握ったまま話をしまくった。
何度ハグやキスをしたいと思ったか。

皆一気に居なくなってくれれば良いのにな・・・。




、大変だ!!」
「大変だぞーーーッ!!」


僕等のムードを打ち壊してくれたのは、の大ファンでもあるオリバーとジェームズ。
すぐさま繋いでいた手を離す。
と僕の繋いでた手にはお互いの汗が混ざってキラキラしていた。



「大変ってなにさ」
「20歳過ぎてるのに、勉強部屋に走ってくるなッ!」
「まだピチピチの二十歳だ!」
「誕生日は明後日!」
「知るかッ!」

・・・おぉ、なんとも可愛いんだ!」
「僕等と語り合おうではないか!」


さっきの慌てぶりとはまったく違う、ゆったりとした歩き方。
その姿に果てしなく腹が立つ。


「この雑誌見てくれよ!」
「普通の雑誌じゃないか。表紙に『特集!』って書いてるだけで」
「そうよ。特集なんて月に4冊ぐらい毎月出てるわ。それがどうしたのよ」



その突き出された雑誌は、周りの皆 誰もが知らないような雑誌で、見た目的に買いたくないものだ。
誰でも知っているような、事件や不倫を堂々と書いている。
B級雑誌よりも酷いぞ・・?




「これ、特集って書いてるけど、特集じゃないんだ!」
「はぁ?」
「見てくれよ、これ!」


突き出され、開いたまんまの雑誌。
そこには、マンションの窓からがひょっこり上半身を出し、体はただタオルで巻かれているだけ。



・・・何時こんな写真を?」
「撮ってないわ! それに、自分の家の外から写すなんてした事無いもの」


次のページを捲ってみれば、が伊達メガネをかけゴミ捨て場にゴミを持って行ってる姿。


「これ、明らかに盗作じゃない!しかも此処見て!そのゴミ箱に入っていた物 ですって!」
「変態記者かよ」
「"の使い捨てストロー、手袋、プラスチックナイフ を抽選で23名様に!"・・・・・呆れた」


僕の横からヒョッコリ顔をのぞかせているの顔は、酷く引きつっていた。
そりゃ、こんな記事だもん。

誰だって引くさ。



「ゴミの中から物を拾ってそれを抽選って・・・」

「非道だろう?」
「僕等だったら、堂々とのストローをパクるのに!」
「バカバカしいにもほどがあるわ!」

「こんなの誰も応募しないだろ・・・」
「甘いわ。のファンは大抵熱狂なんだから、""と書いてるだけで買うもの。たとえ1ページ無かったとしても!」
「でもゴミの中に入ってたんだぜ?」

「でも、が使ったのには間違いないでしょう?」



エマの言葉にしっくりと来た。
ルパートは、「ゴミの中にあるものは、ちょっとなぁ・・」と捨て台詞気味に言っていた。


「こんなの盗撮じゃない! も訴えた方が良いわよ?」
「でも・・・」
「でもって・・・反論しない気!?」

「そうじゃなくって・・・・・」


モゴモゴと口を尖らすに、僕等はハテナマークを大量に頭の上へチラつかせる。




「私の事務所・・・そういうのも、『有名なんだから』って取り扱ってくれないの。前も下着が盗まれてオークションで売られたときも、『2割は事務所に入ってきたんだから』って言って・・・親身になってくれなくって・・」

「そ、そんなの事務所として可笑しくない!?」
「私の事務所、有名なのって私がデビューしてから出てきた人ばっかりなの。だから、私がちょっとでも反論すれば全員の仕事が減るからって・・」
「可笑しすぎるわ!!」



僕が一番に怒鳴りたいのに、エマに先越されてしまった。


僕のが酷い目にあってるのに。
黙ってろよ。