Not cry, My Angel....15
「何を聞いてるの?」
ウォークマンでピッピッと五分後とに押しているのに気になったのか、
エマが勉強道具をほったらかして、に近付く。
「・・・あ、コレ?今年の6月に発売するシングルよ?」
「10月!?そんなに先のを覚えるの?」
「最近記憶力が良くなくって、何回も聞かなきゃダメなのよ」
「そりゃそうよ!6月っていえばが全国コンサートしてる時でしょ?それにアルバムと連続ニューシングル!そりゃ疲れるわよ・・」
「なんでそこまで知ってるんだよ」
「ホームページを見てれば分かるもの。それぐらいファンなら知ってるもの」
ファンなら を強く強調して話しかけてくる。
まぁ僕も知ってるんだけど。
「それってが歌ってる?」
「えぇ。ていってもCD用じゃないんだけどね」
「聞かして、聞かして!」
が耳からウォークマンがはなれた瞬間、
ほんの2秒で耳にセットしていた。
Even though the tears don't stop (たとえ涙が止まらなくても)
Even though the shaking don't stop(たとえ震えが止まらなくても)
― ―
I can't take it anymore. Don't let me down, again.(もう我慢できないわ。もうがっかりさせないで。)
You grew very very much. (貴方は成長しすぎた)
It can't be helped. (仕方ないよね)
But...I have not given up hope yet.(でも、私は望みを失ってはいない)
・・・
5分目になりかかった時、エマがパッとウォークマンを外した。
涙を流しそうな勢いで。・・・・ていうか涙流してるし。
「失恋ソングね!」
「えぇ。秋ドラマの挿入歌なの。だからしっくり来る感じにようとおもったんだけど・・・・どうかな・・?」
「の曲は全て好き! だからこの曲も最高よ!」
さえも困ったような顔。
「エマ・・誰でもそんな事は言えるから・・・。」
「あら、ダンは言えるのかしら?」
「言える訳無いだろう?僕は俳優だから歌の評論なんて出来やしないさ」
「じゃぁ言わないでよ!」
カンカンなエマをほっておいて、僕はの隣に座る。
「この歌書いたのは?」
「えぇ。」
「でもどうしてこんな歌を? 失恋ソングなんて・・・僕等との関係の事はある?」
「無いわよ!あって欲しくないもん。これを書いたのは台本をとあらすじを読んで、気持ちを入れ込んでから作ったの」
片方だけイヤホンをつけて聞きながらと会話する。
両方から別々のの声が聞こえて、ホッとする。
「じゃ今度の曲はダンの事を思って歌を書くね」
「良いの?」
「私が出来るのは歌と演技だもん。ダンにはいっつも元気貰ってるから」
皆がいる前でキスなんて出来ない。
だけど、したくなるんだよね。
だから・・・すっごい我慢して、机の下のの手を握った。
「・・ダン」
「此処だったらこれが精一杯だからね」
「確かに」
この世界が、もしもと僕2人だけだったら。
現実的には絶対無いけど。
あったら生活出来ないじゃん、って話しなんだけど、そうだったらなって思う。
君はずっと僕を見つめてくれていて、
誰に邪魔されること無く、愛し合えるのかな。
呆れられるほど愛をささやいて、君の頬を何度も赤く染めて。
そんな展開になってくれないかな、ハリポタシリーズ。
絶対、ありえないけど。