Not cry, My Angel....13









『明日はキスシーンの撮影だね』

『恥かしいねー・・皆の前でキスって』

とキス出来るんなら、何処でも良いんだけどね』

『そんな事言っちゃってさ、何人の女の子を口説いたわけー?』

が初めてさ』

『信じられないんだけど? 慣れた言葉遣いじゃない?』



メールをもう3時間ぐらい続けている。
僕からは止められないし、から止められるのも悲しい。

だから、10時になったらやめようネって決めてるのに、もう10時37分。 
オーバーしまくりも恒例になってきた。



『そんなに僕の言葉にドキドキしてたの?』


自分でもチャレンジ精神でメールしてみた。
電話で話せば? って思われるだろうけど、メールだから言える言葉だってある。
それに、形に残せるしね。保護すれば。




『しまくりだけど?』


そう返信されて来たのメールをまたもや保護する。
保護しすぎて携帯が壊れてしまうんじゃないかな。



『あ・・・母さんが早く寝ろだってさ。じゃぁ今日はこの辺で!』
『おやすみなさい』



"おやすみなさい" の後の "Zzz" と言う絵文字にさえドキッとしてる自分。
エマにハートマークたっぷりのメール送られても、気味が悪いだけだったのに、だったらドキドキする。

本当は母さんは何も言ってきてない。の体を心配して 言っただけだ。



最近うっすらだけど、目の下にクマが出来ていた。
だから、少しでも寝られるようにって嘘をついてしまった。 ごめんね、でも を思ってメールしたんだよ。



















「おはようございまーすッ!」


元気いっぱいにスタジオに入ってきた
いつも見るボディガードとマネージャー2人。 でもその後ろには知らない人が女の人が4人ぐらいいた。



、あの人達は誰?」
「あ、おはようエマ。あの人達はね明後日あるラプソディーって音楽番組あるでしょう?」
「あー・・あるわね。今週は3時間の生放送スペシャルじゃなかったかしら?」
「あれで特別ゲストで出るんだけど、その時に着る衣装を作ってくれた人よ。今回は着物らしいの」
「日本出身だから?」
「日本舞踊をならってたし、私の提案でもあるの。結構高いのを6着ぐらい頼んでて一番良いのを使うらしいわ。他のはライブとかで着るらしいし」


が鞄からスケジュール表を取り出す。
ペラペラと今月のスケジュールを見てみると、色々なペンで予定が書かれている。



「なんで昨日までのスケジュールにバツしてるの?」
「これは全部ちゃんと終わらしたって事。3日のだけ○してるでしょ? あれは残してしまったって意味なの。それにスケジュール表を見てたら、何日か分からなくなってくるから、分かりやすくする為っていうのもあるけど」
「へぇー・・・」


エマが見てる横目で、僕はのスケジュール帳を見る。
・・・・・今日一日だけで、4件ほど仕事が入ってみるみたい。

僕達なんて、この撮影だけだっていうのに・・・・。



、早く着替えなさい! 仕事が押したら明日の仕事が増えるだけだぞ」
「あ、はーい! じゃぁ、後でね!」


はスケジュール帳を片付けながら、
伊達メガネ、帽子、上着、腰巻などを一気に脱いで別のマネージャーに渡す。

マネージャーも慣れた様に、渡されてすぐさま服をたたんだりする。



「ねぇ、ダン。って最近疲れてないかしら?」
「そりゃ疲れてるだろ。毎日スケジュールでいっぱいだぞ? 1年先の仕事でさえ決まってるのに」
「あら、なんで貴方がそこまで知ってるのかしら?」
「メールしてるからだよ」


「私がメールしても返事しないくせに?」



・・・・・当たり前だろ?
エマのメールの内容はほっとんど、のサインやら写真が欲しい と書いてるだけ。

僕宛ての内容なんて此処3ヶ月ほど送られてきたためしがない。


「少しは返事してよね」



それに、エマとメールをしていたら、の大事なメールが消えちゃうじゃないか。
保護メールだって、受信ボックスがいっぱいになったら消えちゃう事がタマにあるんだぞ?