勉強に集中できない。
君が近くにいるからかな。
君の体温が感じられる気がして、体が火照っているのかな。
それとも・・・・
Not cry, My Angel....12
" パシャッ! "
" パシャッ! "
" ジーーーー・・・パシャッ! "
ハリウッド子役は仕事中でも勉強しなければならない と言う法律が決まっている。
別に途中でお菓子を食べようと、勉強と偽って手紙を書いてでも良し。
だけど、みたいに自分をパシャパシャ撮っている人は初めてだ。
「・・・勉強したの? 課題だされただろう?」
「終わったわ。私数学とか化学大好きだから」
の課題プリントを見てみれば、10枚はある問題用紙がすべて書き込まれている。
しかも、途中の化学式だの、方程式だの一切書かれていない。
「わぁー・・凄い! 私化学なんてチンプンカンプンだから羨ましい! 何が言いたいのかも分からないし」
「エマってなんでも出来るんだと思ってた・・」
「それはハーマイオニーのイメージよ。勉強はさっぱり! 楽しかったら取り組めるんだけどね。だから音楽とかは得意よ?」
「別にどうでも良い教科を・・・」
「うっさいわね! ルパートだって勉強しなさいよ!」
「法律上では18歳は勉強しなくても良いんだよ」
「・・・・・だったら、お菓子を食べてんじゃないわよ!!」
「僕は今ジュースを飲んでるんだって」
「スイーツとしては一緒よ!」
「意味わかんないって」
・・・・・また始まった。
は気にしないようにしながら、自分を撮っていた。まぁ写真集で使うからなんだけど。
でも、フレーズ的にオカシイ。
自分を撮るなら、自分が一番真ん中に来るように撮るはずなのに、風景と自分を撮ってるみたいで。
しかも、さっきは僕を撮ってるんじゃないか と思うような位置だった。
「、デジカメ見してよ」
「日本のだけど?」
「そうじゃなくって、撮った内容」
「イーヤ! 写真集の意味が無いじゃない。ダンだって買ってくれるんでしょ?」
「そりゃ買うけど、見てみたいじゃん」
「まぁイイケド・・・・・」
は渋々デジカメを僕に渡した。
始めてみるヤツだったから、どうすれば良いのか分からなかったけど、
の気遣いで、電源を付ければすぐ見れるようになっていた。
さっきのライブ前で、髪を束ねてもらっている。
アルバム収録されていた曲のイメージドレスを着て、何故かブリッジをしている。
小猿を肩に乗せて、自分のほっぺにひげを書いて、目を瞑っている。
「アッハッハ! こんな写真集見たことない!なんでホッペにヒゲかいてる訳!?」
「そこにペンがあるから」
「"そこに山があるから" みたいに言うなって!」
腹が捩れそうになって、震えながらも手からデジカメを落とさないように必死。
" ピ・・ ピ・・ ピ・・ "
300枚も撮ってるみたいで、中々 今撮っていた写真を見れない。
ラッパーみたいな服を着て、イエーイ!と言うような格好をしていたり、
大盛りのケーキを頬張って食べていたり。
笑わせるような写真ばっかり。
エマとツーショットで、背中を合わせながら、手で拳銃を作り先っぽをフ〜と吹いているのだったり、
フェルプス兄弟と、ホグワーツの制服のままイナバウアーをしていたり。
ん? 僕とは撮らないで、エマ達とは撮るわけ?
「エマ、何時頃撮ったんだよ!」
「がお願いしてきてくれたのよ。 どう?その写真なかなかイケてるでしょ?」
「ていうか、オリバー達も何イナバウアーしてるんだよ」
「「日本ではブームらしいから!」」
いや、そこが問題じゃないから。
「・・・僕とは?」
「ちゃんと撮ってるわよ?」
撮った記憶はないけどな・・・・。
そう思いながら、デジカメをピッピッと押しながら先へ進む。
デヴォンだったり、監督だったり、マギーだったり・・・・・。
あ・・・・見っけ・・。
「僕じゃん」
写真には、が持っているジュースには2本のストロー。
一本はの口元に。
もう1つは、遠くにいる僕の口元に。
「この角度を探すまでが大変だったのよー・・・ね、凄いでしょ?」
照れ笑いしながら、僕を見る。
この写真使って欲しいかも。