愛してるからね。


君の耳元で、ずっと囁きたい。
他の人に見られてもいいから。 他の人に見せつけてやるから。

囁いても、いいかな?








  Not cry, My Angel....11








ってセリフ覚えるの苦手でしょ?」
「そ、そんな事ないわよ・・?」
「焦ってるじゃん。リハの時は、焦りながらセリフを言ってるくせに、本番になるとリアルになるって凄いね」
「気持ちが高まるからだと思うなー・・・ハイテンションになると、私、声変わるでしょ?」


確かに。
普段の声と、演じているときの声が違う。
でも 芝居中にテンションが高まるって・・・・ ある意味凄い。



「オーイ! 次のシーンはチョウ・チャンとハリーが見つめ合うシーンだぞ! は"ハリー"を少し挑発するんだ。その気にさせるような。その後フッと笑って歩き去るシーン。 大丈夫か?」


ハードスケジュールのに気を使ってか、だけを心配する。
僕だって今 すぐにでも倒れそうなんだぞ?
時間が決まっているのに、それ以上してるんじゃないか って疑問に思うほど。



「ダン、早くしろ! お前がちゃんとしてないと映画撮りできないぞ!」
「あ、はい!!」


不満をブツブツ言ったせいで、出遅れた。
の周りに集まってる"チョウ"の友達は、をうっとりと見つめてるし。

・・・・ルパートまで?
僕の隣にいるのに、上半身が前に出てる。


「ルパート。頭上からライトが・・・」
「え!?」
「ウソ。 ちゃんと役に入り込めよ」
「・・・・ウソ付くと泥棒の始まりだぞ」
「もう全国アイドルのを盗ったから、泥棒でも結構。」

「まだダンのじゃないぞ!」
「だってキスしたし・・」

「まだはダンのじゃないわ。・・・・純粋なを奪ったら許さないからね?」



鬼のような顔で僕の背中を突く。
ペンで突きやがったな・・・?

しかもさりげに変な事言ってんじゃないよ!!



「よぉーー・・・い・・スタート!」


デヴッドの声に慌てながらも、それぞれの役に入り込む。
僕達は不死鳥の騎士団について歩きながら話してる。不安なりながらも、遠くにいるチョウが気になっている状況。

自分の欲望に負けそうなハリーを演じるんだ!



『ねぇ、ハリー・・ちゃんと聞いてよ。一大事なのよ?』
『聞いてるよ・・・・僕だって悩んでるんだから、少しは静かにしてくれよ』
『ハリー・・・これじゃ本当に危ないよ?』
『知ってるってば!』



チョウが歩いてきてる。
1人だけ輝いていて、長い髪が靡いている。

役柄はチョウなんだけど、どうみても。 まぁなのは分かってるんだけど・・・・。


愛してるから。本当にを愛してるから。
今までケイティの時の演技がバカみたいになってくる。と重ねればよかったな。
純粋を奪うなってエマに言われたけど、奪いたくなっちゃうのが男ってもんで・・・・


" ウフフ・・ "



小さく聞こえたの声。
こっちをチラリと見ながら、僕を見て笑う。


演技なんだけど、本当に照れたみたいに顔を火照らす
僕は、ただただを眺めていて。
エマ達の演技は聞いてるんだけど、耳をすり抜けていく。



" スキ・・・ "


小さく、の唇が動いた。



「・・・・・ッ!!」
「ハリー?」
「離し聞いてないでしょ?」


僕の方が、赤くなった。
ルパートの髪の毛よりも赤いな。 絶対。確実!









「カーーーーーット!!!」





デビッドの声が、響いた。
カッチンを叩きながら、嬉しそうな顔をしている。



「ダン! 今の演技最高だぞ!アカデミー賞モノだ!」


ニコニコして、台本を飛ばして喜びそう。


「ダン・・・私も今の演技は凄いって思ったわ」
「顔を赤くするなんて普通じゃ出来いよなぁ。 変なこと考えてなければ!」




ちょっとだけ忘れていた。
今、撮影中だったんだっけ・・・・・

うわ、世界中のファンに見られるっていやだな・・。