PHILOSOPHER'S STONE....49
「ん・・・ッ」
薬品の独特の匂いとふかふかのベット。
目が覚めると僕は医務室にいた。
目を擦りながら起き上がり、ベットの横のメガネをかける。
ボヤけていた視界から目に飛び込んできたのは、大量のお菓子。
フレッドとジョージからは「これ一口で目が覚める!唐辛子3本入りキャンディー」・・・・食べないようにしなきゃ。
「起きたのかね、ハリー」
「ダンブルドア先生・・・」
「凄い数のお見舞いじゃな。君達の崇拝者からだろう」
「崇拝者?」
「ハリーとが地下室で起こった事は何故か全校生徒が知っておる。秘密なのに全員がな。おぉ!これはカエルチョコ・・・ロンが君に代わって開けた様じゃな。」
「ロンは大丈夫なんですか? ハーマイオニーは?」
「大丈夫じゃ。2人とも怪我はしておるがピンピンしておる」
ダンブルドアは笑いながらそう答える。
「石はどうなったんですか・・?」
「ワシとニコラスで話し合ってな、石は砕いた。こうするのが一番だ、と」
「それじゃニコラスは死んじゃうんですか・・・?」
「すぐは死なないが、命の水が底を尽きたら死ぬであろう」
「僕達はどうやって石を・・・? と手を繋いでたら突然現れて・・・・」
「あれはな、石を見つけてもそれを何に使おう!と考えてない人だけに現れる。とハリーがそう思ってたから、2人の手の間に現れたのじゃ。どうじゃ、なかなか思いつかんじゃろう? ココだけの話しじゃがな、我ながら良いアイディアだった!」
ダンブルドアはニコニコしながら僕の頭を撫でる。
「じゃぁ・・石が無かったらヴォルデモートは生き返らないんですね?」
「あー・・・残念じゃがハリー・・まだ他にも戻る方法はあるのじゃよ」
少し・・・残念に思う。 あんなに頑張ったのにまだ生き返る方法があるなんて。
一回死んでるんだから、諦めたら良いものを・・・・
「ハリー・・・君にはそれ以上に心配せねばならぬ事があるはずじゃ」
「それ以上・・?」
ダンブルドアの指差す方向には、見たことも無い医療機器の真ん中にいる。
「・・・ッ!!」
「ハリー、落ち着くのじゃ」
「・・・死んじゃうんですか・・?」
「死にはせん。」
「なんであんなに医療機器が・・?」
「ハリーにもある稲妻型の傷が移動したんじゃ」
「移動・・?」
「鎖骨にな。傷が動くことはありえないから、色々な道具で試したんじゃ。はハリーよりずっと前に目が覚めてたぞ。なーに心配する事は無い。はピンピンしとった」
ダンブルドアは笑顔で言う。
だけど、僕自身は心配するしかなかった。
11年間ずっとあった傷が移動するなんてありえるわけが無い。
は絶対無理をするから、心配なんだ。
「君達は本物の兄妹みたいだった」
「え?」
「君が質問したことと、はまったく同じことを聞いていた。起き方も一緒だった」
ウインクをして、僕の頭をまた撫でる。
「・・・ん・・」
「あ・・・・・・」
「やっと目が覚めたんだね、ハリーは」
は少しボサボサ気味になっている髪を丁寧に直しながら起き上がる。
が前髪を触ったときに気付いた。 傷が無い。
うっすら痕はあるんだけども、すぐ消えるなっていうのがわかる。
「大丈夫・・?」
「大丈夫よ? 傷が動いたらしいけど、全然痛くないし。ハリーと左右対称だったのがなくなるのは寂しいけどね」
歩いてきて、僕の目の前にくる。
は、なんの前触れも無く僕に抱きついてきた。
「ハリー・・が死んじゃうかと思ってた・・・。庇ったせいで傷が動いたなら、それで良い・・・ハリーが死んじゃうかと思った・・」
「僕は死なないよ。をおいて死ねない」
「そんな事言っても・・人間死ぬときは死ぬんだから・・・・言葉だけじゃ信じられないよ・・」
ぎゅぅと抱きしめて、涙をポロポロ流す。
「怖かった・・・怖かったぁ・・・ッ!」
「大丈夫、泣かないで」
「無理ぃ・・・・ッ」
「大丈夫だって・・ね? 」
の鳴き声は、医務室に響いた。
ダンブルドアが落ち着かせようとしても、は僕から離れることは無かった。
僕も、に答えるように抱きしめた。