PHILOSOPHER'S STONE....48










「ハリー・・・こっちで良いの?」
「多分・・・・」
「多分って・・・左側に行けば良かったんじゃ・・」
「大丈夫だって!」
「何で自信があるの?」

だってわかるだろ? 傷がコッチに行けば行くほど痛くなる。間違いない」


言われて見ればそうだ。
3歩進む毎に傷が痛み出すし・・ でも、傷が痛くなるのって、危ないって知らせてくれるからで・・・


「もしかしたら、ヴォルデモートがこの先にいるかもしれない」
「えぇ!?」
「もし、僕がを守りきれそうに無かったら、すぐ逃げるんだ。ダンブルドアを呼べば大丈夫」
「ハリーを置いて行けれない!」
「もしもだから・・・大丈夫、最後まで守るから」


まるで恋人同士が言ってるよな会話。
でも、それほど相手への依存度が高いってこと。



「ハリー・・・この階段の先、誰かいる・・・長いローブを着てる・・・」
「スネイプかな?」
「スネイプじゃない気がするんだけど・・・」
「スネイプじゃない!?」

「・・・・・クィレル教授・・ッ!!」


みぞの鏡の前に、独特的なターバンを捲いている人。
クィレル教授しかいない。



「まさか・・・・スネイプじゃなかったの?」
「可笑しいと思った・・・クィレル教授に近付いたら、傷が痛み出すことが何回もあったから・・・」


「彼はいかにも怪しく見えるねぇ。誰もこんな・・・ク、クィレル教授を疑ったかな」
「スネイプは箒に呪文をかけてたってハーマイオニーが言ってたわ!」
「スネイプではない。私が、殺そうとしたのだ。スネイプのマントが燃えたせいで目を反らさなければ、完璧だったのに・・ッ!奴は反対呪文でお前達を助けていたんだ。お前は目障りだからなぁ・・・ハロウィーン以降は特にね。」

「じゃぁトロールを入れて、を殺そうとしたのも・・」
「いかにも私だ。スネイプだけは騙されなかったがな・・・・騒ぎの拍子に賢者の石へ向かおうとしたら、スネイプは感づいて先回りしていた。アイツは常に私を疑っていた。」



クィレルは私達から目を反らし、みぞの鏡をじーーっと見つめる。


「私が賢者の石を持つ私が見える。だが・・・どうやって石を見つけるんだ!!」
「その子供を使え・・」


何処からかかすれた声が聞こえる。
何処か聞き覚えのある、嫌な声。


「・・ココへ来い!ポッター!コウキ!!」


大声に、ハリーがビビったのか一歩ずつ先へ進もうとする。



「ダメよ、ハリー!! 行ったら危ない・・ッ!」
「黙れ、コウキ!!」
「殺されちゃうかもしれないのに・・・行っちゃダメ!」
「黙れ、クソガキッ!」


クィレルはポケットから杖を出し、私達に呪文をかけた。『ウィンガーディアム・レビオーサ』と。
体が宙に浮いて、ジタバタしながらも鏡の前へ連れてこられた。



「答えろ。何が見える?」


私達は体を震わせながら鏡を見た。手を握り合って。





鏡の中の"私達"は、いま繋いでいる手を指差して、パチンッとウインクをしてくる。
"私達"は少し手を開いて賢者の石を見せる。


自分達の繋いでる手を見れば、いつのまにか真ん中に硬いものが出現していて、
手の隙間からはキラキラしている物が見える。

・・・・賢者の石だ・・ッ!!



「どうした、何が見える!!」
「ぼ・・・僕がダンブルドアと握手してる!グリフィンドールが優勝して・・・」
「クィディッチでも優勝してる・・」
「嘘だ・・・」


またもや聞こえる、謎の声。
私たち3人の声ではない。 でも、近くから聞こえる。



「本当の事を言え!」
「ワシが直に話す・・・」
「でも、貴方はまだ弱ってらっしゃる・・・」
「そのくらいの力はある・・・」


そう答えた瞬間、クィレルがゆっくりとターバンを外す。
8mぐらいあるターバンを丁寧に外して行き、素の頭が出てきた。


「ハリー・・・逃げよ・・盗られたら・・」
「・・・ッ」
「ハリーッ!!」



後頭部には、だいぶ昔に見たことある顔。
・・・・ヴォルデモートだ。 でも、どうして・・・クィレルの後頭部に・・?


「ポッター・・・コウキ・・・また会ったな。」
「「 ヴォルデモート・・・ 」」
「そうだ。見ろ、この姿を。こうして人の姿を借りなければ生きられぬ。寄生虫のような姿を・・・。ユニコーンの血で辛うじて生きていきている。賢者の石があればワシは復活し、自分の体を取り戻せる。その手の中にある石をよこせ」
、逃げて・・・ッ!!」



ハリーは私の手に石を預け、背中を押した。



「早く! 盗られちゃいけない!」
「捕まえろッ!!」


クィレルが指を鳴らすと、私の目の前に大きな火が出没してきた。
跨いで逃げる事が出来ない、大きな火。嫌な気分が私を包む。


「ぃ・・・きゃぁああぁっ!!」
「ユリ!!」
「・・・!」


忘れていた、ユリは火が大の苦手。
苦手なのは火と水と。異常な恐怖を感じるみたい。



「逃げられまい・・・・ワシと手を組んで、世界中を怖がらせようではないか・・・」
「イヤだ!」
「アンタなんかと手を組みたくないわ!!」
「ハッハッハッハ!勇敢だな、お2人とも。ワシと手を組めば両親にまた会えるぞ?」

、コイツの話を聞いちゃダメだ!」
「でもお父さん達に・・・」
「聞いちゃダメ! 死んでる人を生き返らせるなんて、無理なんだから!!」



聞きたくないという気持ちと、会いたいと言う気持ちが心の中を交差する。




「賢者の石を渡すもんか!! 」
「ならば・・・殺せ・・ッ!!」


私の所へ飛んでくる、クィレル。殺されるかと思った。
だけど、ハリーが私の前に立ちふさがって、クィレルを殴る。

その拍子にハリーが倒れて、クィレルがハリーの首を絞める。



「ハリー!!」
「まずはコイツから・・・」
「い・・石を渡すからハリーを苦しめないで!!」
・・・渡しちゃだめ・・・・」
「でも・・・・」


ハリーは苦しいのか、自分の首を絞めているクィレルの手を掴んだ。
その時、"ジゥ・・・"と、なにか焦げている様な音がする。



「うゎああぁあッ! なんだ、この魔法は!!手が・・・手が・・ッ!!」


人間の手なのに、灰のようにボロボロと消えていく手。


「バカモノ!早く石を奪え!」


ハリーの手がクィレルの手を溶かした?
でも・・・そんな・・・・


ハリーはなにかを決意したみたいで、自分の手をクィレルにくっ付ける。



「あぁ・・・ッ・・・ぅぁあっ!」


先ほどみたいに、顔が灰のようにボロボロと消えていく。
終いには、体全体が灰になって、服だけがその場に残る。



「ハリー・・・どうやって・・・?」
「わかんない・・・手が・・勝手に」
「ヴォルデモート・・・とクィレルって死んだの・・?」
「クィレルは死んだかもしれない・・・けど、ヴォルデモートが簡単に死なない気がする。」


自分の手をマジマジと見ながらハリーは私に近付いてくる。
ハリーの後ろから、なにか・・・煙のような・・顔のような・・・物体が・・・・・・・ッ!!



「だめ・・・ッ!!」


ハリーの前に立ちふさがった瞬間、その物体が、私にめがけて飛んでくる。
私の体を突き抜けた瞬間、気を失ってしまった。

後ろにいたハリーは大丈夫なのだろうか・・・・
それも解らないまま・・・