PHILOSOPHER'S STONE....43
遠くからドラコの叫び声。
目の前は幽霊みたいに近付いてくる、人間・・・的なヤツ。 体が動かない。
「きゃ・・ッ!」
後退りをしていたせいで、剥き出しになっている木の根っこに躓く。
ハリーの腕をつかんでいたせいで、ハリーまでも倒れてしまう。
「、逃げよ・・・」
「無理・・・・腰が抜けた・・・・・」
目の前のヤツは幽霊みたいに、フワッと近づいてくる。
体全体が警告しているのに、逃げられない。
すると、自分達の真上からなにかが飛んできた。
一瞬、馬かと思ったが、馬の首から上の部分が人間の上半身。ケンタウロスっていうんだっけ?こういうの。
そいつが、アイツを蹴り飛ばしてくれたせいで、ヤツは逃げ出した。
安心はしたけど、コイツが見方だとは限らない。
「ハリー、、この森を出なさい。森の住人は皆、君達を知っている。そして狙っている。」
「さっきのヤツは誰?」
「恐ろしい怪物だよ。ユニコーンの血を飲めば、死の一歩手前でも命は蘇る。だが、代償は大きい・・・・純粋な生き物を殺し、その血が唇に触れるとその者は呪われる。行きながらの死だ」
「そんな事してまで、生きたって思うの?」
「って事は・・・さっきのは・・・ヴォルデ・・」
「今、学校が守っているものを知ってるかい?」
「えぇ。賢者の石・・・」
「そいつはそれを狙ってるよ。」
「「ハリー!! !!」」
後ろからハーマイオニー達の声がして、私達は一斉に振り返る。
「やぁ、フィレンツェ。ポッター2世と二世に会ったようだな。2人とも、無事か?」
「「大丈夫」」
「ハリー、。ここでお別れだ。君はもう安全。幸運を祈る。」
そういって、フィレンツェは走り去ってしまった。
その後姿がとっても格好良く見えちゃったナ。
「ハグリット・・・あそこにユニコーンの・・・」
「あぁ、わかっちょる。あいつはもう手遅れだ。2人が無事でよかった。ドラコ、お前は一目散に逃げるなんて・・・女の子を守るのが男だぞ!」
「グ、グリフィンドールのヤツを守っても得は無い!」
ドラコは焦っていたけれど、体全部が汗だくで、小刻みに震えている。
震えてる姿が、なぜか可愛く見えちゃって怒る気にもならない。
「私達を置いていった罰として、今度なにか奢ってv」
「なんで、お前たちなんかに!」
「皆に『ウヮーーッ!』って半べそかきながら逃げていった可哀想なドラコについて、皆に言いふらすよ?」
「な・・・ッ!」
いつもの威厳がまったく無くて、可愛い・・っていうより虐めたくなる。
「ね、ハーマイオニー。フレッドとジョージに言ったら全校生徒に広まると思わない?」
「多分10分で広まるわね。大広間で叫んだら特に。」
「あ、それ最高かも!」
「止めろっ!!」
「やーーーだv 奢ってくれたら許すかも、お坊ちゃまv」
「・・・ッ!」
さっきまでの怖さがウソみたい。