PHILOSOPHER'S STONE....41
クリスマスはあっという間に終わった。
は、あの日から僕に余り近寄って来ようとしない。なんだか、気まずい空気が僕らを包むから。
「全然違う場所を探させていたわ!どうして私、忘れてたのかしら!」
そういって、ハーマイオニーは僕らの目の前に分厚い本を落とす。
手が下敷きになって、結構痛い。
「ずっと前に借りていた本に書いてあった!これよ、軽い読み物だけど」
「軽い!?コレが? 僕だったら2年はかかる!」
「あった、ココよ。『ニコラス・フラメルは "賢者の石" を造りだした人物である。』」
「「なにそれ」」
「本、読まないの? 有名よ」
「私、知ってる・・・・賢者の石は恐るべき力を持つ伝説の石。いかなる金属をも黄金に変え、飲むものは不老不死になる。」
「もこの本を読んだことあるの?」
「ない・・・だけど、知ってた。」
「「「・・?」」」
「この本とまったく同じ事言ってるわよ? あと、『現在ある石はニコラス・フラメル氏が所有。フラメル氏は錬金術師で昨年665歳の誕生日を迎えた』フラッフィーが守っているのはこの石よ!仕掛け扉の中にあるのは、賢者の石!」
ハーマイオニーが顔をあげると、全員が悩んだ顔になる。
「今日の夜、ハグリットの所へ行って確かめよう!」
「でも、生徒は夜、出歩いちゃダメって・・・」
「賢者の石が盗られるかもしれないのに、そんな事言ってられないよ」
"ドンドンドン"
「ハグリット!開けて!」
「悪いが、今日は遊んどる暇がない。おりゃ忙しいんだ!」
「「「「賢者の石の話なんだ!」」」」
僕達が声を揃えて言うと、いきなり扉が開いて、ロンの顔に激突した。
「あー・・入ってくれ、早く!」
今度は、背中を無理矢理押されながらも部屋の中に入れられた。
「スネイプが賢者の石を狙ってるんだよ!」
「まだ疑っとるのか?」
「本当に石を狙ってるんだよ!なぜかは知らないけど・・・・」
「スネイプは石を守っている先生の1人だ。盗んだりするわけなかろうに!今日はそれ所じゃねぇ、早く帰ってくれ!」
「"守っている先生の1人"って事は、他にも守ってる人がいるんでしょ?」
「その通り。まぁフラッフィーがいれば大丈夫だがな。アレを宥められるは俺と校長だけさ。いけね・・・これも言っちゃいけねぇんだった」
「きゃ・・ッ!」
いきなり、暖炉の真ん中に吊るされてある鍋が動いた事に驚いた。
思わず、ハリーの手を握ってしまったほどに。
「おぉ・・・う・・アチチ・・・アチッ!」
ハグリットは卵を鍋から取り出し、目の前の机に置く。
「なんの卵?」
「こいつは・・・その・・・・・」
「僕知ってるよ!ハグリット・・どうしてコレを持ってるの?」
「パブで貰った!向こうもコイツを持て余しててな」
卵がピキピキいいながら殻を破る。
終いには四方八方に飛ばして。
「ドラゴン!?」
「ただのドラゴンじゃないよ!"ノルウェー・リッジバッグ"だ!チャーリー兄さんがルーマニアで研究している種類だよ!」
「可愛いだろ? ちゃーんと俺がママだって事が分かっとる。ほれみろ、俺に近付いてきた!可愛いぞ、ノーバートちゃん」
「「ノーバート!?」」
「名前は必要だろうが。ほれー・・コチョコチョコチョ・・・」
ノーバートはくすぐったかったのか、行き成りクシャミをして、ついでにハグリットに向けて火を放った。
「おおおお・・・ちょいと躾は必要みたいだな」
いや、笑ってる場合じゃないでしょ・・・
「ありゃ、誰だ?」
ハグリットが燃えているヒゲを消しながら外を見る。
窓の外には、金髪でオールバックヘヤーの男の子・・・
「マルフォイだ」
「こりゃ、いかん。お前達はすぐ寮へ帰れ!減点されっぞ!さぁ、早く。」