片思いって忙しいね。
メールが来ただけでドキドキして、
ダン専用の着メロを聞いてでドキドキして、
メールが来るまでのちょっとの時間でドキドキして、
ホント、片思いって忙しいね。
片思いって忙しいね。
不死鳥の騎士団で、オリジナルキャラの"メレディー・ブレア"として、特別出演として配役が決まった私。
どうせ、
少しだけ売れてきた私を、もっと売れさせようと事務所がお金を積んだんだろうけど。
でも、今はすっごい感謝してる。ただの、
"ハリポタ主役のダン"
から
"片思いの相手ダン"
に移り変わってしまったから。
エマと友達になって、ルパートとも友達になって、不自然にならないようにダンとも友達になってメルアドを交換した。
多分、手が震えていたかもしれないけど、まぁー・・・バレてない って事にしておこう。
「ダン、またメールを無視したわねー!」
「ごめんって!昨日お風呂入ってる時にメールが着たから、あがってから送ろうと思ってたら忘れてて・・・・」
「結構待ってたのよー! ルパートは優しいから『ごめん、メール遅くなって』ってくれるのに、ダンはそのまま・・・・"僕は紳士だからね"って言ってたインタビューは嘘だから撤回したらぁー?」
「以外には紳士だよ」
「なんでよ!?」
自分が人懐っこいおかげで、皆とも溶け込めた。
一先ず安心・・・かな。
「、貴方・・毎日ダンとメールしてるのね」
「そりゃぁ・・・ねぇ・・・メールしたいし・・」
「簡単に言えば片思いって事ね」
「分かる?」
「ダンと話したがってるし、何気に近付きまくってるから。誰が見ても分かるわよ」
エマって人を良く観察するから、こういう話はすぐ当てる。
ボニーもデヴォンのも、全部当ててくっ付けたぐらいのスゴモノ。
「応援してあげるわ。ダンの好み、私結構知ってるから」
「さすが!」
「7年も一緒だったら嫌でも覚えちゃうわよ。ちなみに、ルパートの好みはホッソリよりも少しポッチャリ系よ」
「ルパートじゃなくて、ダン!」
「ダンはねぇ・・・しつこい人は苦手みたい。前の彼女が別れてからも連絡よこして来てからずっと」
殴り書きでも良いからメモしたい。
もー・・なんでこういう時に限って回りにはお菓子しか無いのよぉ!!
「ダンは音楽とか大好きだから、音楽の話をすれば長文メールが来るわよ。そこから親密になっちゃえば?」
「音楽かぁ・・・それなら私も得意!」
「苦手じゃダメでしょ。は歌手なんだから!」
「頑張ってみる・・・ね」
脳に刻み込むように覚えた。
歌を覚えたりしているお陰で、こういう事はスルリと頭に入る。やったね!
・
「えっと・・・初めから音楽でも良いかな・・・」
『Subject : 聞いた?
ダンの好きな歌手がベストアルバム出すんだって。私、昨日仕事で一緒でベストにサイン書いてもらったの!』
こんなもんかな・・・。
敬語ばっかりだと気が引けちゃうし、こんなもんだよね。
"送信"ボタンを押して、すぐさま着メロをダン用に設定する。
あまりこの歌を聴いた覚えない。でも、サビが良い感じの詩だから ってだけで決定。
自分の歌にしようとしたけど、自分の声にビクつくのは嫌だし・・・・
"〜〜♪"
「きゃっ!!」
こんなにもすぐメールがくると思ってなかったから、手からケータイが落ちそうになる。
両手で支えながら、震える指で
『Subject : Re:です。
本当?じゃぁ早く買いに行かなきゃ売り切れちゃうよね!』
たった二行。
それでも本当に嬉しくって、足をバタバタさせて布団を蹴っていた。
恋しちゃってるなぁ・・。
それから20通ぐらいメールした。
何故か話題が変わっていて、私と同じ事務所の女の子の話しになっていた。
変えようと頑張っても、ダンは変えてくれない。
『その子のアドレスしってたら教えてくれない?』
と、メールが来た時は、体中が凍りついた気がした。
『ファンなの?』
『別にファンじゃないけど、良かったらメールしたいなぁって』
『・・・・なんかヤダ・・』
『僕嫌われてる?』
『そうじゃないよ。なんか、教えたくないの。』
『どうして?』
こんなに積極的にメールしてるのに。
もー・・・気付いてくれても良いんじゃない!?
私の世界は、もうダンを中心に回ってしまってる。
言葉を発するたびに、気分が天国や地獄に移動してしまう。
頑張るしか・・・ないか。