君の笑顔を守りたいからと言って、僕は無理なんかしていないよ。
本気でそう思ってるから。


お互いの気持ちは知っているのに、何も出来ない。
でも、その距離感が僕的には良いのかもしれないな。

近付き過ぎず、遠すぎず。 の温かさが伝わってくる、丁度良い距離。



僕には本当の笑顔をみせてはくれないかな?












  いつか言いたいネ....06














さっき、「ヴォルデモートの娘」と叫ばれて、手を震えさしていた。
もう、さっきの女の子達は見えないのに。

どうして、こんなにも震えてるんだい?
指先は冷たく、手首は脈を打ってるのかわからないほど、心拍音が感じ取れない。



「慣れてないじゃないか・・」
「え?」
「すっごい怖がってるじゃないか」
「怖がってないじゃない」




「じゃぁ、どうして手と肩が震えてるの? 隠せきれてないよ?」





僕の手から、自分の手を遠ざけようとしている。
無駄だよ。 僕の元から離してなるものか。


「これは寒いだけで・・」
「でも、さっき言われてからだ」
「・・・・ッ」


何も思いつかない。
言い訳だっていっぱいするけど、こんなに焦りながらしたら意味ないじゃない。


「別に隠さなくて良いよ」
「ダサイでしょ、私・・・・強くないのにね・・強くないのに、強がるなんて・・・」


唇を噛み締めながら、涙を流す。
痛みで紛らわそうとしてるみたいだけど、紛れてないみたいだね。



「強くならなきゃダメなのに・・・我慢できないって自分でもわかってるのに・・・ッ!」


僕に手をつかまれたまま、抵抗せずにただじっと・・・立ったまま涙を流す。


「小さい時からそうよ・・・友達と遊んでたら、その子のお母さんが友達の手を引っ張りながら『近付いてはいけません!』って小さな声で言うんだよ? それに、私が使った遊具は誰も使おうとしない。何も知らずに使っていた子は、タオルやティッシュで一生懸命拭かれて・・・」
「辛かったんだよね?」
「バイキンみたいに扱われて・・・友達なんか作れなくて・・・虐めだよ、こんなの・・・!」



僕がこの手を離したら、はそのまま崩れ落ちるだろう。
ただ、地面に座るんだろうけど、気持ち的には、地獄の業火に焼かれながら。



オペラ座の有名な言葉、『地獄の業火に焼かれながらも、それでも天国に憧れる』。
まさに、はその状態なんだろう。
たった一人で、よく此処まで頑張れたね。


抱きしめたユリの体は、今までの苦労を僕に伝えるように、震えた。
首元に見えるアザも、手元のアザも、足元のアザも、全てが痛そうに腫れている。



「今度から僕に助けを求めても良いからね」
「でも、それじゃ・・・」
「『シリウスに迷惑がかかっちゃう』って思ってるんだろ? 大丈夫だって。女の子を守れないほど、俺は落ちぶれてないし」

「シリウスが怪我しちゃったら、私、どうしたらいいのか・・・」
「怪我ぐらいすぐ治るさ。ジェームズ達と一緒にいる方が怪我の量が多いから」



シシシ と笑う歯は真っ白で、太陽の光に反射してキラッと光る。
あぁ・・・私、恋してるな。






This loathsome gargoyle,

Who burns in hell,

But secretaly yearns for heaven.....













最後の英語は、『地獄の業火に〜』の英語版ッス。

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