いつか言いたいネ....04
この世に産まれて、世界中に拒まれた子供。
その子は父親に似て、真っ赤な目と真っ黒な髪の毛。可愛い子になって欲しいからと、""と名付けた。
父親は、子供が出来たのを知った直後に姿を消した。
我が子に呪文をかけて、姿を消した。
はすくすくと育った。
母親に似て整った顔立ち。 背は小さいのに、オーラが大きい女の子。
は、父親のせいで魔法界に住んでいる全員から嫌われた。
・と名乗れば普通に接してくれる人でも、一言"マールヴォロ"と言えば、虐めの対象にさせられた。
逃げるために入ったホグワーツでも一人ぼっち。
みんな知らないはずなのに、知られている秘密。
父親を恨みたい。
でも、恨めない。
母さんの唯一愛した人だから。 そして、私がいまココにいるから。
目の色を隠すためにカラーコンタクトをしても、偽りはいつかはバレる。
好きになった人でさえも、バレてしまう。
私も一目惚れだから。貴方が私に恋をしたのもなんとなくだけどわかった。
貴方には嫌われたくない。
笑顔をまた見せて。
温かい指先で、私の周りに張り詰めた氷の壁を溶かして―・・・
「?」
「・・・ッ!」
「寝てた?」
「ごめん、昨日あんまり寝てなくて・・・エリー、ノートみしてもらって良い?」
「それは良いけど・・・」
「エリー、その人にノート貸さない方が良いわよ〜? 血の付いたノートで返されるわよ」
「貴方はマグル出身だから、真っ先に殺されちゃうかもよー?」
ケタケタ笑う、人の気持ちを考えられない女。
は服を掴んで小刻みに震えていて、目はウロウロ動いて。
「、やっぱり貸せないや」
エリーという女の子は、の元からそそくさと離れる。
友達を選べよ。罵られる怖さから逃げるために逃げずに。
「二度と近付かない方がいいわよー? 」
「あの子のお父さんがどんな人かあなた知ってるもんねぇー?」
君は知らないだろ。
顔が「まぁ首を縦に振っておこう」って顔してるよ。
を泣かせないで。
僕の好きな人だ。 大切な人だ。
誰の血を引いていようが、僕には関係ない。
の親に恋したんじゃない、に恋をしたんだ。
「、僕のノート見せてあげる。結構汚ないけど、ジャームズよりは綺麗にしてるし」
「おいっ!」
遠くから突っ込みをいれるジェームズ。
「頑張れ」と言う声が、大きい。 バレるじゃん。
「いいの・・・?」
「もちろん。」
「ありがとう」
真っ白な歯をキラキラみせる。
ノートを渡すときに少し触れた手は、冷たい。
だけど、僕の心にジワジワとなにかを流れ込ませた。
表現できない。 頭の中でも理解できてない。
手が冷たい人は、心が温かい。 誰かが言ってた。
の前には冷たく分厚い壁がある。
まるでがいる事を絶対教えようとしないみたいに。
その壁をちょっとずつだけど、無くしてやる。
叩いて壊れなければ、よじ登ってやる。 道具は要らない。
僕の体だけで、こえてみせる。
壁はこえるために立ちふさがっているんだから。