僕達はを家まで連れて行き、小屋から箒を取り出し、乗せた。
「ね、ねぇ・・・これってどうやって飛べばいいの・・?」
「僕がの前に乗るから、後ろに乗って。掴んでもらったら良いから」
「わかった!」
フレッドが私の前に来た瞬間、私はギュッとフレッドに抱きついた。
フレッドはビクつきながらも、少しずつ空へ飛ばしてくれた。
「凄い!!飛んでる!私、空飛んでる!!」
はとっても興奮していた。
足をばたつかせ、180度周りを見渡していた。
「ありがとう、2人とも・・・私、夢叶えられた・・・・」
首を回してを見てみると、少し涙ぐんでいた。
「有難う・・・ありが・・」
その瞬間、は崩れるように箒から落ちた。
幸いジョージがキャッチをしたが、は汗だくで息が乱れていた。
「、どうしたの!?」
「苦しいのか!?」
「大丈夫・・・何時もの事だから」
何時もの事だからといわれたって、始めてみる僕達にとっては驚きものだ。
が苦しそうな姿なんて見てられなくて、僕達はただ慌てることしか出来なかった。
「大丈夫よ・・・大丈夫だから・・・」
「大丈夫じゃないっ!!」
「尋常じゃないよ、この汗・・・」
僕達はどうすればいいのか解らなかったので、フルーパウダーでの家まで行った。
僕達の家よりも何倍も広かったけど、僕達以外の人がいる気配が無い。
ジョージは抱きしめていたを布団に置いた。
「の家族は・・?」
「家族の皆、仕事なの。夜には帰ってくる・・・」
「を1人にさせてるの!?」
「毎日・・・?」
「うん、毎日。だけど、私は嬉しいんだ。だって、私のために働いてくれてるんだよ?感謝しないとね・・・。私、いつ死んでもいいように家族に手紙を書いたわ。あのタンスの中。私が死んだら、2人とも皆に教えてあげて」
「は死なないさ」
「死なせたくない・・・」
僕達は必死なを見て、思わず一筋の涙が流れてきた。
「どうして泣くのよ・・・・人はいつか死ぬのよ?私はそれが早いだけ。2人の家族だっていつかはいなくなるんだから、覚悟持たないと・・・私なんかの為に泣かないで・・・。2人の泣く顔なんて見たくない」
は強い。僕達なんて、もう少しで死ぬとわかっていたら、
とても落ち込んでいるだろう。そして、ノビノビと生きている人をとても恨むと思う。
心が強く、心が清い。
「・・好きだよ」
「愛してる・・・」
僕達はポロリと本音が出てしまった。
の髪をなで、少し冷たい手を握り締め。
「ダメだよ・・・私を好きになっちゃ・・・すぐさまいなくなっちゃうよ・・?悲しくなるだけだから、やめて・・・・」
「少しの間だけでも、に触れていたい」
「を抱きしめていたい」
「「愛し合っていたい」」
「後悔してもしらないからね・・・」
僕達はその日、の唇を味わった。
とても濃厚で、一生忘れられないほど刺激が強い。
君は僕達の手などをずっと握っていて、僕達を一度も離そうとはしなかった。
離したくない、離れたくないと言う風にも感じられた。
その二時間後、は息を引き取った。
涙でグチャグチャの汚れた顔には、もう血も通っていない。
キスをしても、照れたりもしない。ただ、深く眠っているような顔つきで。
僕達の目からは溢れんばかりの涙が零れ落ちて、の顔なんて綺麗に見えない。
「ジョージ・・あそこから手紙が・・・」
ジョージが指を指した方向には、の言ってた手紙の束が置いてあった。
僕達はソレを取りに行き、「愛してる二人へ」と書いてあった。
中を見てみると、インクで滲んでいた字だったが、
ただ一言「愛してるわ。私を忘れないで」と書かれていた。
僕達はその手紙をグチャリと握りながら、泣いた。
ただ、泣くことしか出来なかった。無能な俺達には到底無理。
魔法を使おうとしても、魔法界には人を生き返らす方法が無い。
だけど、出来ることがある。
お互いが杖を向け、死の呪文を言い合う。
「じゃぁな、ジョージ」
「じゃぁな、フレッド」
「お前と一緒に生まれてこれて嬉しかったよ」
「俺もさ。」
「「天国で会おう!」」
杖をギュッと握り締めた。
だが、開いていた窓から突風が流れてきて僕達の杖を吹き飛ばした。
「「うゎ・・!」」
風は僕達が死ぬのを嫌がっているみたいに、
何回も吹いてきて、杖を取られなかった。
「アハハ・・・死ぬなって事かよ・・・・・」
「残される奴の気持ち考えろよな・・・」
死のうという気持ちが一気に吹き飛んで、笑いに変わる。
「わかったよ、・・・・死なないから」
「ずっとの事忘れないから」
「「俺達の愛してるのはだけだから・・・」」
そう言うと、風は止み、穏やかで心地よい風に変わった。
僕達は立ち上がって、を見てみると、が少し笑っているように見えた。