貴方はチョウに夢中で、私の存在に気付いてくれない。
私、チョウよりも貴方の傍にいたのに。



どうして・・・どうしてもっと、アピール出来なかったんだろう・・・




恋人になれる希望が欲しいわけじゃない。
遥か彼方にある、アナタの心が欲しいの。












 私の存在











お願いだからこっち向いてってば・・・私に居場所を頂戴・・?
すぐ傍にいるのに 心は果てしなく遠くて


とっても悲しい。 憂鬱になる。




「チョウ!!」



なぜ、ハリーがあの子を呼ぶときは、こんなにもハキハキしているんだろうか。
私の名前はサラッと呼ぶ。 まるで、ペットの名前を呼ぶように。




「今度・・・あ・・その・・・」
「今度の授業、一緒に行かない?」
「ぼ、僕も・・それが言いたかったんだ!」



絶対嘘。 "デートしよう"って言おうとした。
私だったわ分かる。 私だからわかるの。



だから・・・私を誘ってよ



、聞いてよ! 僕、チョウと一緒に授業移動が出来る!」
「ハリー・・・」
「ん?」




わかってよ。 わかろうよ。 私達・・"親友"なんでしょ?
自分で言って、悔しいけど、そうなんでしょ?


言いたい言葉が頭の中だけで、声に出ない。
この先の事を考えると、怖くなる。

怖い結果を 人間は一番初めに考えちゃうから 行動に出来ない。




「チョウ・・・嬉しそうだったね」



私がそう言うと、笑った。
白い歯をキラキラさせて、目の横にシワをためて。



「そう見えた!? よかったぁ・・・心臓がバクバクして、どうすればいいのか分からなかったんだ。チョウの顔も余り見られなかった!」


「ねぇ、ハリー・・気付かないの?」
「え?」
「ハリーの事がすっごく好きって。他の女の子と話しているだけですっごい嫉妬しちゃうって」




私は、それだけ言って逃げた。


多分、ハリーは私の事だと思ってない。
100%そう思ってる。


・・・」



ハリーの溜息交じりの声が心に染み付く。



「ありがとね!」


どっちの意味に捉えられるけど、自分が嬉しい方に考える。






未だに、あの時の意味を聞いていないけど、ハリーがチョウよりも私と一緒にいてくれる時間が増えた気がする。
ただ、"気がする"だけだとしても、チョウよりも長くいられるから、嬉しい。


相手に好きな人がいても、絶対振り向かせてやる。
チョウなんか、私より劣ってる。

だって、ハリーの事全然知ってないんだもん。私だけが知ってるハリーの秘密。




私に向けた 私だけの 秘密。