ハリーとロンと、ハーマイオニーはいつも一緒。 私は、彼らの仲の良さが本当に羨ましかった。
まるでボクワーツの中で家族を見ているような・・・そんな仲の良さで。 もちろん私も仲良くしてはもらっているけれど・・・
私は、スリザリン生だから――いつも一緒にいるのが ドラコやパンジー、クラッブとゴイルだったりするし、ドラコが凄く怒るから
ハリーやハーマイオニー、それにロンと仲良くできないの。
私は、ロンが彼ら3人の中で一番好き。 だって、彼は大家族の中で、とても素直に育ったんだってわかるもの。
彼の人柄や性格、思いやりさが備わっていて一人っ子の私としては とても羨ましくて。
ほんとはね
今日は、魔法薬学の教室に向かう途中の階段でばったりとロンに会った。
『あ、ハーイ、ロン!』
「やぁ、。・・・今日はあいつらと一緒じゃないのかい?」
『・・・あいつら?あぁドラコ達の事?今日は先に行ってるんじゃないかなぁ?』
「ふーん・・・がいつも一人だったら話かけやすいのに!」
『ごめんね、またドラコには私から言っておくから』
「あ、いや!は何も悪くないんだから」
ちょっとだけ罰の悪そうな表情をして、頭を掻くロンに私も苦笑して
『そうね』と小さく頷いた。
『そういえば・・・今日はハリーとハーマイオニーは一緒じゃないの?』
「こっちも、多分もう行ってると思うよ。僕、忘れ物しちゃって。先に行っててもらったんだ」
『そうなんだ!実はね・・・私も忘れ物しちゃって』
ほら、これ。と手元のインクを持ち上げ、一緒だねなんて戯けて笑って見せた。 ロンも少し苦笑しながら、手元のノートを持ち上げて、同じように笑った。
そして次の瞬間、鐘の音が鳴りお互いにビックリして飛び上がった。
「『授業!!』」
しかし、きっとスネイプ先生の事だから・・・遅刻を許してくれないだろう。
それに、ロンはグリフィンドールだし・・・きっと点数を引かれるに決まっている。
チラリとロンの表情を盗み見ると、彼もチラリと私の表情を伺っていた。
「ねぇ、・・・ちょっと今日は具合悪くなってみる気ない?」
『・・・そう言われると、なんだか頭痛がして来た、気がするわ?』
「うん、僕なんかなんだか口から胃が飛び出して来そうなほど胃がムカムカするよ」
お互い顔を合わせ、クスクスと笑いながら一緒になって走り出した。 どこに行くでもなく、ただてきとうに歩き回っていると、いつの間にか
校舎の外に出ていて花の咲き誇る庭へと出ていた。
2人で並んで、近くのベンチに腰掛ける。そして、そっと目を瞑ると、少しだけ涼しい風が、私の頬を掠めて行った。それでも、太陽の光が温かく
どこか心地よい感じがし、少しずつ眠気が襲ってきた。
『あー・・・なんだか眠くなっちゃった』
「うん、このままだったら寝ちゃいそうだ」
『なんだか・・・安心するなー・・・ロンといると』
「えっ!?・・・?」
ロンが遠くで私の名前を呼ぶ声が聞こえた気がしたが、温かい日差しに 頬を掠める涼しい風。そして、何よりも隣にロンがいる事に安心し、
私はウトウトとしながら、今度は深く目を閉じた。
が横で、目を瞑り、そっと呟いた言葉に耳を疑った。
『なんだか・・・安心するなー・・・ロンといると』
一瞬、胸が・・・心臓がドキッ!!と大きく、弾けた気がした。
スリザリン生にはとても珍しく、いつも笑顔で大らかな優しい。
そんな彼女といつもたくさん話したいと思っているのに、いつもいつも、
あのドラコ・マルフォイに邪魔される!だから、こうやってベンチで2人きりで座り、しかも授業をサボってるという、この状況になぜか胸がドキドキした。
そんな僕の心の中を知ってか知らずか、その大きな瞳を瞑っている。
ジニーの持っている人形よりも長い睫。真っ白な肌にバラのような色をした唇に頬。
栗色の髪の毛は一本一本透き通っていて、とてもとても・・・
「可愛い」
本人を目の前にして、そっと呟く。の心に届いていればいいな・・・なんて
思いながら、すぐ横にあるベンチの上に置かれたの手を優しく握り締めてみた。
僕は、が好きみたいだ。この胸のドキドキや、自然と頬が体中が熱くなるのは、 多分きっと、気のせいなんかじゃない。
ともっと仲良くしたい、ともっと話したい。
少しだけ、ドラコ・マルフォイに嫉妬する。だけど――
今、隣で眠るお姫様は、今は、この"時"は、僕だけのお姫様。
「ずっと、この"時"が続けばいいのに」
そっと、呟き、またの握る手に優しく力を込めた。
(ほんとはね、ロン。私が起きてるなんて気が付いてないでしょう? 私は、スリザリンなんだから)