CHAMBER OF SECRETS....08













ダイコンヨコチョって所に、私達は行くらしい。
わけもわからないまま、マントを着せられたりして、暖炉の前に連れてこられた。


、ハリー、よく聞くのよ。この中にある粉・・"フルーパウダー"って言うんだけど、これを掴んで暖炉の中に入って、行き場所を言いながら自分の足元に向かって投げるの。それだけで行きたい場所に移動できるわ。じゃぁ入って」
「まって、ママ。2人ともフルーパウダーを使ったこと無いんだよ?」
「じゃぁロン、行きなさい。お手本を見せてあげるのよ」


ロンは自慢げに暖炉の中に入り、小さな壷みたいな物から粉を取る。
そして、『ダイアゴン横丁!』と叫びながら自分の足元に粉を投げる。



「きゃあっ!!」


ただ移動するだけだと思っていたら、緑色の光がロンを包む。
は僕の後ろに逃げて一向に前を見ようとしない。


「あら、・・・どうしたの?」
「あぁ、は火とか水が大嫌いなんだよ。小さい火と少量の水だったら良いんだけど、大きかったら怖いみたい」
「そう・・・でも、こればっかりはねぇ」


・・・・確かに。


、別にこの火は火傷したりし、危害無いから大丈夫だよ」
「うー・・・」
「ぼくもすぐ続くから。ね?」
「・・・わかった」


は泣きそうな目をしながら、ゆっくりと暖炉の中に入る。
方耳を塞ぎながら震えた手で粉を掴み、自分の足元へ投げつける。



「ダイアゴン横丁!!」


自分が炎に包まれているのが分かる。
不安そうなハリーの顔。一瞬で見えなくなるのが分かった。




















「きゃ・・ッ!!」


着地に失敗して、滑り込むように着地した。



「なにやってるんだ?」
「・・・?」


ロンと声が違いすぎる。
ロンよりも低い声で、どっしりしてる男子の声。



「オリバー・・?」
「正解。大丈夫?」
「なんとか。フルーパウダーを初めて使ったから、焦っちゃって・・・此処はダイアゴン横丁であってるのよね?」
「合ってるよ。」
「ロンを見た?ロンもフルーパウダーを使ったんだけど・・・」
「いやぁ・・見なかったなぁ」


少し後ろを向いて自分が出てきた暖炉を見る。
1分だってもハリーやジニーやフレッドとジョージも来ない。



「・・・ぅう・・」
「わっ!」


まるでおもちゃを買ってもらえなかった子供のように、涙を溜める。
口はヘの字になって、歯を噛み締めている。

8歳ぐらい年をごまかしてるんじゃないか、と思うほど顔が幼くなる。


「ハリーが来ない・・ッ!」


俺はなにをどうすれば良いのかまったく分からない。
妹なんていないから、扱い方がさっぱり分からない。

特に自分がトキメキまくっている女の子の泣く姿。
本当にどうすれば・・・?



「と、とにかくハリーを探そうか」
「うん・・」


涙を流さず、ただ俺の手を握る。
小さく暖かい手は、俺の心まで温かくする。