CHAMBER OF SECRETS....63









数分ぶっ続けで全速力をした。明日・・・絶対歩けない。

やっと森を抜け出した と思っても、また追いかけてくる。
透明マントを急いで被って、音を立てないように必死でグリフィンドール寮に戻った。




「何が『クモを追え』だ!おかけで僕等は死にかけた!! アズカバンから出たらお腹を殴ってやる!」
「黙ってロン!! 1つだけ分かったでしょ!ハグリットは犯人じゃないって」
「だからってクモに会わせなくても良いじゃないか!あんなモジャモジャ髭と頭を綺麗に散発してやるッ!!」















次の日、私はジニーと一緒にハーマイオニーのお見舞いに来た。
いっぱい色んな事を話したけど、返してくる言葉はゼロ。

でも、諦めたり、話すのを止めたりしたら寂しいと思って、ずっと話した。



「ジニーどうしたの?そのヘヤピン。誰かからの贈り物?」
「うん。ケイティが誕生日にプレゼントしてくれたの。ケイティはこの黄色と色違いの青を持ってるのよ」
「すっごく似合ってる。可愛いわ!」
「ありがとう!」



こんな他愛も無い話をずっとしていた。


ふと目に入った 冷たいハーマイオニーの手。

 "クシャッ"

そうそう、こんなにクシャっとしててさ・・って えッ!?!?



手のひらに、なにやら紙クズ。

「なにそれ?」
「分かんない・・・ハーマイオニーの手の中にあった」



私は、気にはしたけど、ポケットに入れて後から見ようと思った。
ジニーはそんな私を横目に、話し始めた。



「それでね、ハーマイオニー。私、最近物忘れが激しいの。夢遊病なのかな。さっきまで図書館にいた と思ったら、マートルがいる女子トイレに立ってるの。移動した記憶もないし・・・コレ絶対夢遊病だよね!」


夢遊病って・・・・


「しかもね、毎回トイレなの!不思議だと思わない? 私便秘でも下痢でもないのに!すっごい不思議!」


暴露大会みたいだなぁーこの会話。
面白おかしく言うジニーに私はずっと笑いっぱなし。

いつか、ハーマイオニーが返事を返してくれると 頭のどこかで思っていたんだと思う。















!インク持ってない? さっきインク零したからさ」
「ちょっと待ってて・・・明日提出のプリント・・・まだやってなかったの?」
「あぁ、今から寮に帰ってやろうと思ってね」


自分のポッケに手を突っ込んで、インクを探す。


 "クシャ"


あ・・・忘れてた。

インクをハリーに渡してから、自分は手紙を広げる。



「その紙何?」
「もしかしてカンニングペーパー?」


ロンは笑いを期待していたのに、無反応な私。


「それ、なんの紙?」
「分かんない・・ハーマイオニーの手にあった紙なんだけどね。見忘れてて・・・・えっと・・」



「我らの世界でもっとも凶悪でもっとも恐るべき怪物 それはバジリスク(巨大な蛇)。数百年行き、巨大な目に睨まれれば命を奪われる」
「「・・・・・・」」
「クモは一番にバジリスクを察知し、逃げる。 クモが集団で逃げる事があれば要注意」
「「・・・・・・・」」



紙を読んだだけなのに、沈黙が走る。
ただ、歩いていたせいで、足音だけが響く。




「それってさ・・」
「秘密の部屋の化け物 じゃない?」
「私もそう思う・・・」

「ハーマイオニーが襲われた時は図書館帰り!これを調べていたんだ!」
「蛇だから・・蛇だから私たちは声が聞こえたのよ!」



「でも・・睨まれたら殺されるんだよ? 誰一人として死んでなんかいないだろう?」


あ・・そっか・・。


「忘れたの? コリンはカメラを構えたまま倒れてた。カメラのレンズ越しに見たから"直接は"見てない。ジャスティンは首なしニック越しに。ニックが死なないのは幽霊だから!幽霊が死ぬなんてありえない。そしてハーマイオニーは・・・」
「鏡越し・・・手鏡を持ってた!」

「ミセス・ノリスは?猫がカメラも鏡も見てないはずだ!」


「あの日・・マートルが床を水浸しにしてたでしょう?水に反射したバジリスクを見たのよ」
「だったら辻褄が合う!! さっすがハーマイオニー!!」
「ハーマイオニーもだけど、もさすがさ!」
「どうも」


真実を突き止めたのはいいけど、自分たちは今から何をすればいいのか と、
また歩きながら考えていた。
寮に帰るはずの道と、真逆の方向に歩き、時間稼ぎをするように 階段を登りに登った。




「あ・・・・」
「「・・・?」」
「壁見て・・」


ハリーの青ざめた顔。
指差した壁を見てみれば、また血で文字が書かれていた。



『彼女の白骨は永遠に秘密の部屋に』




「彼女って・・?」
「そりゃ・・まぁ・・・女子だろ」
「って事は浚われたって事!?」
「でも誰だろう・・・」


その時、光の反射でキラッと光ったものが見えた。
壁よりかは5mほど離れた所に。


黄色い、キラキラしたヘアピン。






  ― ケイティが誕生日にプレゼントしてくれたの。ケイティはこの黄色と色違いの青を持ってるのよ ―





「連れ去られたのが誰かわかったわ。」
「誰?」
「そのヘヤピン・・・もしかして・・」



「ジニーよ」