CHAMBER OF SECRETS....56
「あー・・・ハリー?」
ハリーは私を見ながらも、上の空。
目なんか完全に点に近くなってるし。
「この本・・・どう思う?」
「日記って書いてるから日記でしょ」
「でも、何にも書かれてないのよ?」
「じゃ使う前の日記さ」
「もう! ちゃんと話を聞いてよ! 怪しいって思ってよ!」
ハリーを押し飛ばしながら、ちゃっかり隣に座って日記を開く。
「ちゃんとした日記帳なのに、なんにも書かれてないって無駄だよねー。なんだかラクガキしたくなっちゃうし!」
ロンにインクと羽ペンを取ってもらい、インクをつけて、適当に絵を書く。
全然本格的じゃなくって、丸書いてチョンチョンと点を打つような絵。
やっぱり私、絵ヘター!
そう思いながら、横にいるハリーの似顔絵を書いた。
豆キャラみたいに小さく可愛く書けてヨシッ!と思っていたら、それがジワジワと消えていく。
「ねぇ、ハリー見て!」
「んー・・・ 何も書いて無いじゃないか」
「え・・? ちゃんと書いたよ!」
「メガネかけてないけど、書いてないのだけはちゃんと分かるよ」
「ウッソー! だってちゃんと書い・・・・アレ?」
なくなってる。
え!? 私、ちゃんと1ページ目に書いたのに!
「うそぉ・・・」
チャレンジ精神で、インクを4滴ぐらい落とす。
「ちょっと、ハリー!ロン!見て!!」
2人の首元や裾を引っ張る。
無理矢理私の近くにくっつけて、日記を見せる。
すると、インクがジワリジワリと消えていく。
2人の顔を交互に見ると、少し目を開かせて凝視している。
「ね、ね! 私の言ってること嘘じゃないでしょ!?」
「でもなんで?裏側にも滲んだ後ないし、消えたとしか・・・・」
「魔法の日記なんだねー・・・幾ら書いても見られないし、他の買う必要が無いし。」
「違うよ・・・なんか怪しい・・・・、なんか書いてみてよ」
「何を?」
「自己紹介とか!」
日記に自己紹介って・・頭をかしげながらも、書いていく。
「こんにちわ。 私は・です」
日記にそう書くと、またもやジワリジワリと消える。
それで終わりかと思いきや、綺麗な字で、今度は文字が浮かび上がってきた。
「こんにちわ。僕はトム・リドルです。」
「わーすっげぇ!」
「この本の持ち主の名前の所に『トム・マールヴォロ・リドル』って書いてたし、本人だと思う・・・えっと・・・"貴方は秘密の部屋について何かしっていますか?"」
「ワーオ。単刀直入かよ」
「はい」
「え!?」
「知ってるって・・・・」
「聞いた方が良いって!」
「"教えてくれますか?"」
「いいえ」
「なんなんだよ!!知っているって言っておいて、教えないって・・・ジラすのにもほどがある!」
「聞き出し方も分からないし・・・どうしようも・・・あ、見て!また浮き上がってきた!」
「でも、見せることは出来ます」
その言葉の意味を、私達は理解できなかった。
「見せてあげましょう。50年前の出来事を」
いきなり、本と本の間に大きな光が現れてきた。
眩しすぎて、目を覆いたくなるほど。
「眩し・・・ッ」
「チカチカする・・・」