CHAMBER OF SECRETS....38
を1人で帰らすのは本当に怖かった。
僕が付いていこうと思ったけど、体中に激痛が走り動けない。
「1人で大丈夫?」
「大丈夫! 先生たちも寝てると思うし・・・大丈夫!」
そういって、はウサギのように軽く素早く走っていった。
透明マントを体に被せながら。
・
「やば・・急がなきゃ!」
透明マントを被っているとはいえ、秘密の部屋の怪物に襲われる可能性がある。
だから焦って、一生懸命走った。
バレちゃいけない。 また迷惑かけてしまう、という思いが頭を過ぎる。
「・・コッチに来なよ」
「・・・?」
また聞こえてきた。
遠くからズルズルと引き摺っているような音さえも聞こえてきて。
「やだ・・や・・・ッ!」
いつもハリーかハーマイオニーに抱きついて、肩を抱きしめてもらいながら移動していたのに、
今は誰もいない。
ミセス・ノリスがあんな風になったのもあって、一段と怖さが増す。
「誰・・誰なのよッ! なんで私ばっかりに話しかけてくるのよ!」
「君が必要だからだよ」
「必要・・? どうして?」
「君の血が必要なんだ」
「血なんて・・どうして必要なの?」
「・・教える義務なんて皆無・・・」
一気にズルズルと近付いてくる音が加速する。
血目当てに近付いてくる と思ったせいで、壁際にくっついて、出来る限り小さくなる。
時間だって、もう3時半を過ぎている。
ハーマイオニーがいつも私に10時少し過ぎには寝さされるせいで、
眠さも限界を超えた。
「負けないもん・・ あんたなんかに・・血なんてあげない!」
まぶたが重い。
非常事態にもなって、眠さが来るなんて・・・
閉じかけている瞼を上げても、一気に閉じてしまう。
どうしよう・・・
やだよ、石になんてなりなくない・・・
「石に・・な・・なら・・」
私は、倒れるように地べたに倒れたのが分かる。
ドサッと言う音も、体中に響いた。
でも、力が出ない。
「・・・ッ・・ん」
自分が寝ちゃう、寝ちゃう と言う意識はある。
一瞬だけ横切ったハリーの横顔。
もう・・見れないのかな。
そう思った瞬間、意識を飛ばした。
左足に硬くて大きなモノがブツかったのにも気付かずに。