CHAMBER OF SECRETS....03







バーノン叔父さんに扉を開けられそうになったせいで、
私達は必死にドビーからスタンドを離し、クローゼットに投げ入れた。

いれたと思ったら、すぐさまバーノン叔父さんが入ってきた。・・・ギリギリセーフ!



「お前達、なにをしてるんだ!」
「「なにも・・・」」
「汗をかいているじゃないか!如何わしい事でもしてたのか!だったらもう少し静かにしろっ!」
「「違います!」」
「日本人ゴルファーのジョークのオチを台無しにしやがって!」
「ごめんなさい・・・」



その時、クローゼットの扉が少し開く。は慌てて扉を閉める。
バーノン叔父さんも少し驚いていたが、壊れた扉としか思っていないみたい。・・・セーフ。

「今度音をたててみろ!生まれてきた事を後悔させてやるからな!」
「「はい、叔父さん」」


また、ゆっくりと扉が開く。
が必死に手で押さえてるのに。 バレる!!


「その扉を治しておけッ!」


勢い良く扉を閉めて、下へ走る叔父さん。 バレてない! 絶対扉を開けて中を確認すると思っていたのに!
来客してる人、ありがとうっ!



「・・・・行った?」
「うん」
「大丈夫かな?」
「多分」


は押さえていた扉を一気に開けて、自分の3分の1しかないようなドビーを持ち上げて、
ベットまで引っ張る。

さすがに怒っているご様子。



「分かったでしょ?私達には居場所が無いの!」
「この部屋がございます!」
「意味が違う! この部屋はあっても、友達もいない、勉強も出来ない。こんな所にまだいろって言うの?」
「えぇ、言っていますとも!」
「ムカツク、このチビバカ!」
、落ち着いてって・・・・」



「手紙を一通もくれないのが友達なんですか?」



その言葉に僕ら2人の体が止まる。


「「なんでその事知ってんの?」」
「ハァ・・ッ!!・・ハリー・ポッターと・コウキは怒ってはなりませぬ」
「決め付けないでくれる? 怒る時は怒るし」
「ドビーめは二人のためを思って、手紙を隠していたんで御座います!友達に忘れられたと思ったら学校へはいかなくなるだろうと思ったので御座います」
「「手紙を返して」」



ドビーの手には、持ちきれないほど多い手紙。

ロン、ハーマイオニー、パーバティ、シェーマス、ネビル・・・色々な人からの手紙。
綺麗な字や、綺麗な字を書こうと頑張ったけどやっぱり下手な字の手紙。

私達がどんだけ待っていたと思ってるのよ!



「ダメです!」
「返せコラーーーッ!!」


が少し大きな声を出すと、ドビーはビクついてこの部屋から出て行った。


僕らも、気が動転したせいで、ドタバタと走りながら部屋から出てくる。
まぁ、正気じゃなくなったって事だけど。



「待て・・この下僕ーーッ!!」
怖いって!」
「許せない、あんなヤツ!」


普段の怒りの10倍は怖くなってる。


















ドビーがちょこまかと逃げるせいで、僕達は一階まで降りるハメになってしまった。
ドビーは相変わらずちょろちょろ逃げる。


ドビーがキッチン横の扉の前で止まった。その目はあのデカ過ぎるケーキを目で捉えていて。
僕らをチラリと見てニコリと笑ってきたりもする。
いや、それだけは止めようよ!!



「ドビー・・戻ってきて!」
「早くしないと見つかっちゃう!」
「では、学校へ行かないと言ってくださいませ」
「「それは無理だって・・!」」


ドビーが指鳴りをすれば、お皿に乗っていたケーキが少しだけ浮く。
15センチぐらい。・・・・ってそんな事考えてる場合じゃない!


「ドビー・・・お願いだからやめて」
「学校へ行かないと言って下さい」
「言えないよ!」
「ホグワーツは僕たちの本当の家だ!」
「では、こうするしかありません。お2人の為なのです!」


また指を鳴らせば、ケーキの下部分が波を打ちながらも叔父さん達の所へ飛んでいく。
扉から顔を出せば、叔母さん達の方向よりも、お客様の方へと向かっていく。

ヤ バ イ!!



「ハリー・・どうしよう」
「僕がキャッチしてくる」
「無理だって」
「大丈夫!」


ハリーは今にも掴もうとしてるような体制を取りながら、音を立てずにケーキへ近付く。



「如何する気よ、ドビー」
「ケーキを落とすので御座います」
「じゃぁ、言っておくわ。別にケーキを落として私達が怒られても、ホグワーツに行く事は諦めないから。アンタがどんなに邪魔しても」
「それは面白そうですねぇ」


ドビーはニヤリと笑い、指を鳴らす。
その直後、ケーキは真下に落ちて女の方のお客様の頭に落ちた。 パイ投げされた芸能人みたい。
って、人事に考えてる場合じゃないって、自分!


「すいませんッ!! うちの甥なんですが、情緒不安定で知らない人に会うと荒れてしまうんです!二階にいさせたんですが・・・」



必死に謝り続けるバーノン叔父さんを横目に、ドビーはまるで雲になったみたいに消えていった。
するだけしておいて、逃げるだなんて・・・