CHAMBER OF SECRETS....29
暗い廊下や階段を登りまくった。
今日ほどグリフィンドールの寮が遠くて恨んだ時はない。
「それにしても不思議よね・・」
「うん・・」
「「不思議?」」
「だって、私とハリーだけがあの声を聞いて、」
「その後ミセス・ノリスが石にされていて、壁にあんな血文字まで!不思議すぎて頭が痛いわ」
「ねぇ・・ウソ付いちゃったけど、声のこと言うべきだったかな・・・?」
「言わなくて正解だと思うけどな」
「ロンの言う通り! 魔法界でも、特定の人にしか聞こえないようにするなんて、ダンブルドア先生だって無理よ」
ロンとハーマイオニーは眉毛をへの字にして僕等に言う。
「ハーマイオニーとロンには聞こえなかったとしても、私とハリーが聞こえるのって・・・なんか・・・・嫌な予感がするの」
「ヴォルデモートの声って?」
「おい! 例のあの人!って言えよ」
「私より背が10センチも大きい貴方がこんな事で驚かないでよ!」
「ううん、ヴォルデモートの声じゃないと思う。」
「僕もそう思うよ。確かに声は暗くて骨の隋から発しているような声だったけど、ヴォルデモートより声が結構高めだった」
「そうそう! 後ね、人間の声じゃないと思うの。なんて言えば良いのかわからないけど・・・」
の言いたい事は、何となくだけど分かる。
僕だってそう思うし、ハーマイオニー達にも通じたと思う。
「そうだとしても、今の私達にはなにも出来ないわ。今日は早く寝ましょう。も疲れてるようだし」
ハーマイオニーはの肩を持って一段一段持ち上げるように歩く。
疲れすぎて今にも躓きそうだった。
「あら・・・ちょっと熱が出てるの?」
「え?」
「首元が熱いわ。でも、オデコは全然熱くないの。風邪の前触れなのかしら・・?」
「多分そうかも。が寝てる時にマダム・ポンフリーが言ってたから」
「そう。明日の授業には出られそう?」
「大丈夫! 熱いだけでダルかったりは全然無いから!」
ニッコリ笑うに、僕は少しだけ違和感を覚えた。
なにか、隠し事をしてるんじゃないかな って―・・…
・
「、起きて」
「ん・・あと2分・・・・」
「さっき1分だけ って言ったでしょ!だから1分待ったのに!」
ガバッともう風呂取られた。
自分の体温で温かくなった布団を取られて、寒さが流れてくる。
「イーーヤーーーッ!」
「早くしないと朝ごはん食べ遅れるわよ! ・・・あら?」
ハーマイオニーが私に近付いてきて、私の首元をじっと見つめる。
「首が赤いわよ?被れちゃったの?」
「んー・・? ・・これは・・きゃッ!」
起き上がって、首元のパジャマをぎゅっと握る。
「どうしたの・・・首だけ熱いわよ? しかもの傷の所よね・・?」
「見られちゃった・・・他の人には絶対言わないでよ?」
「それは構わないけど、どうしたのよ・・」
それから私は、一通り話して傷を見せた。
声にならない叫び声と、また大きくなっている傷に、自分自身が嫌になる。
「本当にハリーに言わなくて良いの? ハリーが心配するわよ?」
「教えなかったら心配しないでしょう?」
「でも、首元まで真っ赤になって・・・・見つかるのも時間の問題よ?」
「お願いだから・・・言わないで・・・ハリーにこれ以上心配かけられない・・!ハリーは私ばっかりを大切にして、去年も私をすべてから守ろうとした!」
涙がポロポロ出てきた。
「小学校でイジめられてた時も、私をかばって階段から落ちたわ!去年もヴォルデモートから私を守ろうとして、私の前に立ってた!」
「落ち着いて、・・・」
「私はほとんど無傷で・・・ハリーの体はいっつもボロボロで・・これ以上心配させられない。私に縛られてたら自由になんかならないよ!!」
「落ち着いてってば!」
ハーマイオニーは大きな声を出して、二の腕を掴んで、力いっぱいに引っ張る。
震えと涙はまったく止まらなかったけど、我に返れた。
「ハリーはまったく不幸せっていう顔をしてないわ。といる時が一番幸せそうよ?をいっつも心配していて、私達なんかほったらかしにされる事の方が多いわ。とハリーはたった2人の家族でしょう?心配かけたって良いのよ。家族なんだから。」
優しい声で、ゆっくりと話してくれる。
「私だってホグワーツでちゃんと生活出来てるかってパパ達いっつも心配してくれてる。パパなんて車に乗ってる時に急ブレーキをかけたりしたら私の前に手を出して飛び出さないようにするのよ?シートベルトしてるのに! ね? 守ろうとしてくれるのが"男性"なのよ。は可愛いからハリーは守りたくなっちゃうの。度が過ぎてるのは誰から見ても分かるけど!」
フフッと笑って、近くにあるティッシュで私の涙を拭く。
「誰にだって心配かけても良いのよ。もちろん、ロンや私にだって。心配するって事はを大事に思ってるって事でしょう?心配されなくなったら終わりなんだか」
「・・・ありがとう・・」
涙を拭いてくれているハーマイオニーにぎゅっ と抱きついた。
そうだよね、心配されなくなったら終わりだもんね。
心配してるって事が、その人を大事に思っている証拠だもんね。
ありがとう、教えてくれて。
ありがとう、私を心配してくれて。