CHAMBER OF SECRETS....27
「待ってよ・・待って!!」
「急いで! 声が聞こえちゃうよ!!」
二つほど角を曲がる。 すると、いきなり廊下が水浸しになっていて。
後ろから付いてくるをすかさず止める。
「待って・・・この廊下・・水浸しになってる。、負ぶってあげるから」
そう言って僕はしゃがんで、背中に来る少しの重さを待っていた。
なのに、何時までたってもその重さが来ない。
「大丈夫だよ・・水浸しぐらい・・・・私も、これからハリーばっかりを頼ったり出来ない。それに、早くしないと声が逃げちゃうよ?」
僕の手を引っ張って、無理矢理立たせる。
その手の温もりが、まったく温かく感じない。
「克服しなきゃ・・・迷惑ばっかりかけられないよ」
でも、は後ろにいるハーマイオニーの手をぎゅっと握って、
目をショボショボさせながら、一歩前に進む。
これが、の独立の第一歩。
そう思うべきなのかな。 そう感じなきゃいけないのかな。
「うわ・・・クモが行列を作って歩いてる・・・僕クモ嫌いなのに」
「そんなプチ情報いらないから」
「誰よこんな水溜まり作ったの!! うー・・・いっ!!」
水が少ない所を選んで、一歩一歩躊躇いながら歩く。
僕から離れて、歩んでいく。
子離れできない親みたいに自分がなっていく。
「声が聞こえなくなってる・・逃げられた」
「だから、その声って何よ!!」
「"殺してやる" "八つ裂きにしてやる" "こっちへ来い" って・・・」
「そんな声聞こえなかったけど・・・・」
「うわー・・・水溜りに字まで書いてある」
「はぁ? 水溜りに字なんか書いてあるわけ・・・」
足元をじっと見ていると、文字が書かれている。
でも、そんな事ありえるわけないから・・・・ と、ゆっくりと視線を上にあげる。
「秘密の部屋は開かれたり。継承者の敵よ、気をつけよ」
血で書かれた文字を、ハーマイオニーがスラスラと読む。
血滴が垂れ下がっていて、読みにくいけど、なんとか読める。
「血で書かれてるわ・・・」
「待って・・あそこにぶら下がってるのって、ミセス・ノリスじゃ・・?」
「逆さまにぶら下がってる・・」
「でも、どうやって?」
「知るわけないだろう? 固まって、ぶら下がってるなんて」
「ニセモノだったりしないよね・・?」
ハリーが数歩前に進むと、遠くから足音が聞こえる。
しかも、大量の足音。
「ハリー・・戻って!!」
「・・?」
「逃げよ・・・皆が来てる・・これじゃ私達が犯人って事になっちゃう!!」
「逃げれるわけないわ・・・こんな中途半端の道で!」
大量の足音が近付いてくる。
もう・・逃げられない。
ザワザワと色々な寮の人が歩いてきて。
この廊下は、ほぼすべての寮へと行ける道。 私達だって良く通る道だ。
「うわっ!!」
「壁になんか書かれてるぞ!」
「血文字だ!」
叫ぶように、右から左から声が聞こえる。中心には私達がいて。
驚きを隠せないマダム・ポンフリー。
写真を撮ろうとしているコリン。
大きな声をあげて、怖さを倍増させようとしているフレッドとジョージ。
「継承者の敵よ、気をつけよ・・・・次はお前等だ、穢れ血め!!」
睨みつけながら、意味の解らない言葉を投げつけるドラコ。
「何を騒いでいるんだ!! 通せ・・邪魔だフィネガン!」
人を掻き分けて僕たちの近くに出てきたフィルチ。
バッドタイミング・・・。
「ポッター・・お前、なにをしてくれたんだ・・・ワシの猫を!!」
「フィルチ先生、やめて!! ハリーはそんな事しない!!」
「ワシの猫を殺しやがって!! お前を殺してやる!!」
「ハリーはそんな事しない!」
「黙れ!!!!」
「お前が黙れーーッ!!」
私は叫びながら、ハリーの首元を掴んでいるフィルチを思いっきり肘で横腹を殴る。
ハリーから離れて、脇腹を押さえて痛みを堪えている。
「ハリーはそんな事しない!! あの声の人がやったの!!」
確信が無いのに、勝手に決め付けて叫ぶ。
「ハリーがそんな事するわけないじゃない!! 決め付けないでよ!!」