CHAMBER OF SECRETS....26
「あ、!!」
医務室から出たばっかりの私に、ハーマイオニーが満面の笑みで走ってくる。
そして、私の方が背が小さいせいで、ハーマイオニーの腕の中にスッポリ入ってしまう。
「倒れた時は本当に心配したわ!!」
「ご飯を食べてすぐに医務室に向かったんだぜ、ハーマイオニーのヤツ」
「本当に心配してたの!」
涙を出しそうな勢いで、私をぎゅっと抱きしめる。
「ロンなんて罰則を受けさせられたのよ? まぁハリーもなんだけど」
「トロフィー磨きをフィルチと一緒にだぜ? 最悪さえも通り越してた!」
「ハリーは、ロックハート先生のファンレターの手伝いだっけ?」
「そんなの罰則じゃないわ! そんな罰則なら喜んで受けたら良いじゃない」
「出た・・・ロックハート病が」
「なんですって!」
私からパッと離れて、殴りかかりそうな勢いでロンに近付く。
「それにしても・・・ハリー遅い・・・・ロンが終わったんならハリーが終わっても良くない?」
「そうね・・。ハリーならロンみたいにタラタラせずにすぐさま終わらせようとするはずだし・・・」
「迎えに行っても良い?」
「えぇ、良いわよ」
私はハーマイオニーとロンの手を引っ張って前に進む。
色々と話しながら、手を上下に振りながら。
「でね、その後シェーマスがネビルにブツかってさー。縮み薬がモロにかぶっちゃってさ」
「アッハッハ! だから2日間ネビルが授業に出なかったんだ!」
「可哀想よ。まだ右手の指が3本ほど小さいんだもの。」
クスクスと笑っていると、ハーマイオニーがある事に気付く。
「あら・・・の傷って鎖骨らへんにあったかしら・・?」
「・・・・去年傷が移動したの。理由はわかんないけど・・・」
「ハリーは同じ位置にあるんでしょ?」
「うん。 本当に訳わかんない・・・ちょっと気に入ってたのに・・」
「気に入ってた?」
「だってハリーと左右対称だったでしょ?」
ニコニコ笑いながら言う私に、苦笑いの2人。
でも、その苦笑いの意味がわからなくて。
そのとき、何かが聞こえた。
喋っているのか、風が低い音で吹き渡っているのか さえもわからない。
声だとしたら、骨の髄まで凍らせるような声。
氷のように冷たい声。
「・・・・来るんだ・・引き裂いてやる・・・・八つ裂きにしてやる・・」
「は?」
「「は?」」
マネをするように、私の顔を見て2人が言う。
「聞こえなかったの? 今の声・・・」
「声って・・?」
「僕らの声しか聞こえるわけないだろう?」
「壁からかな・・・なんか聞こえる・・・」
私は近くの壁に耳を寄せる。
でも、此処の壁からじゃない。 もっと、遠い所から・・・
「ちょっと待ってよ・・!!」
すばしっこく、ダッシュをしながら壁に耳を近づける。
もっと・・・もっと遠くから・・・
「、ちょっと待って・・・待ってってば!」
「早・・ッ」
100mぐらい真っ直ぐ走っていると、右に曲がらなくちゃいけなくなる。
左は行き止まりだから・・・だけど、声は左から聞こえる。
しょうがなく右に曲がろうとすると、目の前にいきなり現れた人にブツかった。
「痛・・・ッ・・ハリー・・?」
「? ごめん・・大丈夫?」
「うん・・・アッ・・声が・・・」
「声?声って・・"殺してやる"って言ってる声?」
「そう! 追いかけてたら、聞こえなくなって来てたから急いでて・・・」
「殺す? 殺すって?」
「私達以外の声なんて聞こえないわ!」
「早くしなきゃ・・・殺される!」
「殺しに行ってる!!」
私達は、急いで逃げている声を必死追う。
ハーマイオニーとロンは訳がわからないと言う顔をしながら追いかけてきた。