CHAMBER OF SECRETS....24
僕は走って大広間へ向かった。
勢い良く扉を開けて、スリザリン席に一直線。
ザワザワとするスリザリン席と、グリフィンドール席。
ロンの僕の名前を呼ぶ声ですらイライラしてくる。
殴ってやりたいナンバー1のドラコが、口パクで「イカれたか?」と言っているのが分かる。
・・・・お前のほうが、イカれてる。
「どうした、ポッター!」
「自分の席が何処さえもわからなくなったのかい?」
「例のあの人に脳を壊されてたのか。それは知らなかった!」
と、ニヤニヤしながら言ってくる。
僕の悪口なんて、言っておけばいいじゃないか。
でも、を怖い目にあわせるなんて・・・・それだけは許せない。
僕は一番近くにいたフリントの胸倉を掴む。
「なんだよ。殴るんなら殴ってみろよ。グリフィンドールが大幅に減点されるだけなんだからな」
「じゃぁ、殴らせてもらうよ。」
僕は一発、力を入れながら殴ってやった。
驚いた声と痛がっている声、悲鳴すら聞こえてきた。
「なにすんだよ・・・」
「殴って良いって言ったから殴っただけだ!」
「ポッター! なにをしてんだよ!」
「殴っただけさ!」
頭に血が上って、まわりのざわめきがウソのように、あまり聞こえない。
ただ、恨めしい奴を本気で何発も殴ってやりたいと思った。
「ポッター!!」
マルフォイが僕の近くに近付いてきて、僕のマントを思いっきり引っ張る。
「お前なんかに、なんで殴られなきゃならないんだよ!」
「は水が大っ嫌いなんだよ!! なのにクィディッチ競技場でを一人ぼっちにして!は眠ってたけど、気絶したみたいに倒れてるんだぞ!! にそんな事しておいて、殴られる意味が分からないって? ふざけんな!」
人を殴るのは初めてだった。
いつも怒っていても、がいたから怒りが鎮められたのに。
「ハリー・・・待って!」
僕の腹元に急に抱きついてきた。
目を向けてみれば、まだ服が濡れているだった。
「殴らないで! 私が逃げ遅れたの・・・ちゃんとドラコは『早く降りろ』って言ってくれたもん・・・私が悪いんだから・・私が遅れたせいで、雨が一気に降ってきたんだもん!」
「でも・・・」
「殴らないで!!」
殺意のような気が流れていたのに・・・・・
急にホンワカしたような空気が流れる。
「私は大丈夫だから・・・ね? 席に戻ろう?」
は僕の手を引っ張って、グリフィンドール席に戻ろうとした。
まだ、物足りなさを覚えながら。
「水が怖いなんて、ふざけてるよなぁ?」
そう言う声が聞こえてきた瞬間、レイブンクローの席にいる男の人が、
持っている飲みかけのオレンジジュースをの顔に向けて投げつけた。
「・・・きゃっ!」
「なんだ、本物っぽいじゃん」
はそれを水だと確認出来た瞬間、なんの前触れも無いまま倒れた。
ドサッと響く、倒れた音。
「・・・ッ!!」
に水をかけた男の子はバツが悪そうな顔をして、
僕じゃないよー と言う感じに、前を向いて。
「ポッター! を医務室に連れてけ!」
後ろからマルフォイの声がした。
マルフォイが初めて僕の意見に賛同した。
だから少しだけだけどマルフォイの言葉を信じて、を抱えながら医務室へ向かった。
「になにしてくれんだよ!」
後ろから、さっきの僕みたいにレイブンクロー生を殴るマルフォイ。
その時に思った。
マルフォイもの事が好きなんだ と。
渡すもんか。
お前がどんだけの事を好きだとしても、には僕が必要なんだ。
僕が、を守るんだから。