CHAMBER OF SECRETS....19








「先生ー。早く授業を始めてください」


ディーンの小馬鹿にした声が響く。
それに伴い、クスクスと堪え笑いをする人さえもいるほどだ。

ディーンがそういうと、ハッと我に返り、作った顔で僕らを見る。



「気をつけて!」
  「お前の方が頭を"気をつけた"らどうだ?」
「魔法界でもっとも穢れたヤツとも戦う術を授けなければならない」
  「お前は顔が"穢れてる"って」


ロックハートの言葉にいちいちナンクセを付ける。
私とハリーはクスッと笑ってしまうのに、ハーマイオニーは睨みつけるほど。



「今日は危険ですよ・・・君達に闇の魔術に対する防衛術を教えなければならない。それには実践が必要です。今日は小さな悪魔を連れてきました。今まで君達が習った魔法で、再びこの檻に入れてみてください。」



ロックハートが小さめの檻を取り出して、被っていた布を取った。


「ピクシー小妖精かよ」
「捕らえたてのな。だから人間にはキビしい所があるぞ?」
「アッハッハ! ピクシーを?」
「笑うのは今のうちだぞ。ピクシーはやっかいで、危険な小悪魔ですぞ!さぁ、どう扱うかな? お手並み拝見!」


檻を開けると、いっせいにピクシーが飛び出してくる。
軽く・・・30匹はいるな。

目の前にいた女の子達は一気に逃げ出して、ハーマイオニーと私は自分達の教科書を床に落とす。



「何してんの!」
「ピクシーは地面スレスレには飛ばないの。ていうか、飛べないのよ。だから、教科書を落として守らなくちゃ!ピクシーは破ったり噛み砕いたりするのが大好きなんだから!」


そういっては、周りの人達の教科書やらなんやらを落とす。



「どうした? 早く捕まえないと!」
「捕まえる!? こんなにいるのに一匹ずつ捕まえろって?頭イカれてるんじゃねぇのか?」


ロンは顔に飛んできたピクシーにパンチを喰らわそうとしたせいで、逃げられ、
自分自身で顔面パンチしていた。



「きゃあッ!!」


ラベンダーのスカートの中に潜り込んで、四方八方に飛びだす。
あともう少しで中身が見えそうになっていたり。



「いえっへーーーいッ!」
「アハハハーッ!」


騒ぎながら、飛びまくる。



「うゎぁーーッ!」


ネビルはピクシーに持ち上げられて、天井にあるシャンデリアひ引っ掛けられている。
ドラコはドラコで、キメまくっていた髪型をグチャグチャにさせられて、何本も金髪を抜けられたみたい。



「フリージ・・・ッ!」
・・!」


目の前のピクシーに冷凍の魔法をかけようとしたら、他のピクシーに杖を捕まえられた。
しかも、後ろから大きいピクシーがにブツかろうとした。

僕はそれを防ぐようにを抱きしめながら、そいつから逃げた。



すると、ピクシーはの杖を適当に振り回している。
適当に振り回したせいで、杖から、何かが溢れてきた。






水だ・・・ッ!!







僕はを強く抱きしめられなかった。

その水からを守ることが出来なくて。




"バシャーーンッ!"




少なめかな と一瞬思ったのに、量が多く、本当にズブ濡れになってしまった。



・・・落ち着いて。ただの水だよ。が怖がる事ないんだよ」


僕は必死でを落ち着かせようとした。
ハーマイオニーもロンも、他の人達も、何故そこまでしてるのか と疑問を持っているだろう。
でも、落ち着かせないと・・・



「あ・・・あ・・」


ショックが大きくて、喋れなくなってる。
手のひら 雫が落ちまくっている髪の毛の先 を、ただじっと 震えながら見ている。





「いやぁぁあぁぁあぁ・・ッ!!!」





耳を押さえながら、大きな声で叫ぶ。


ハーマイオニー達は驚いて目を見開かせている。
が水嫌いな事、言ってなかったみたい。 が叫んですぐ、地震が起こった。


グラグラと揺れて 左右に30センチほど動いてそうな気分。

窓ガラスは割れ、上からは恐竜の模型みたいなモノが崩れ落ちてきて。
ネビルは吊るされた位置から、落とされて。 ・・・・ハーマイオニーが助けてたけど。




、落ち着いて。ハリーは此処にいるよ!お願いだから、落ち着いて!」
「ハリー・・どうなってんの?」
は・・は・・・・」
「そんな事後で言うから、を落ち着かせないと・・・ッ!!」



僕はまだ叫び続けているを抱きしめながら背中を優しく叩く。


「やだ・・・嫌・・怖い・・ッ! あぁぁあぁぁぁッ!!」
、落ち着いて! !!」
「ああぁぁ・・ッ! ・・・・ッ・・」


落ち着いた・・・?
叫ぶのを止めると、揺れがおさまった。


「・・・落ち着いた?」
「・・・・・・」


「ハーマイオニー、見て・・・・ピクシーが死んでる・・」


ロンが立ち上がりながら言った。

を抱きしめたまま周りを見渡してみると、動き回っていたピクシーがピクリとも動かず、
大口を開けたりしながらも、死んでいた。



・・・教室から出よう。ね・・? お願いだから」


僕は、目を開けてはいるけど、気力を一切感じないを、
お姫様抱っこしながら部屋から出て行った。



僕の後ろを、ハーマイオニーやロンが付いてきて。













ヒロインの秘密に、ちょっと関わってきます(つ▽<)