離れたくない....10









自分がこんなにも弱いとは思わなかった。
強い 強いと言い張っていたのに。 ジョージの事になると、一気にもろくなる。


ダメだな、私って。
心を捨てないと、ガマンできないのに。





「ハーーイ、


オデコにキスをして、私に声をかける。




「どうしたの?」
「フィアンセの顔が見たくなっただけさ」
「それは、どうも」



私から、キスをする。
っていっても、あっちが顔を近づけてきて、唇に顔をぶつけられただけだけど。

痛いっつうの、アホケビン!



「これ」


小さな箱を取り出して、私の目の前に突きつける。



「なにこれ?」
「指輪。婚約指輪だと思ってくれたら最高だね」
「ありがとう! これ、すっごい高いんじゃない・・・? キラキラして、綺麗・・」




キラキラしてて、綺麗。
だけど、こんな物欲しくない。 こんだけのモノに私の一生を捧げたくない。



「付けてあげる」


そういって、私の左手の薬指につけてくる。

一番抵抗したい状態だけど、抵抗したら怪しまれる。
雰囲気だけでも、ケビン大好き!にならなきゃ、いけないんだけど・・・・・




あ、勝手に抵抗してるよ、自分。 矛盾しちゃってる・・・。



「どうした?」
「あ・・・け、結婚してないんだよ? 私達。結婚式をあげる時に付けて?」
「そうだね。 じゃ、コレは小指につけさしてもらうよ」


ケビンは私の手をキスしながら、指輪をつけた。
私には似合わないほど、大きくて、キラキラ光ってる。



でも、私はこんなのいらないよ。
今、一番付けていたいのは、ジョージからもらった、おもちゃの指輪。


日本に来てくれた時に買ったモノ。
バカみたいに喜んで、付けてない時は、必ずポケットにいれて。





つける事を許されない。 つけたら、皆を裏切ると思え。
ワガママは許さない。


言い聞かせてよ。 私だけの思考じゃ、ガマンできないよ・・・。