映画を見に行こう
僕には好きな人がいる。
僕が今出ている映画"ハリーポッター"の脇役をしている、・。
彼女が何故脇役なのかがわからない。イギリス一の女優で最近はアメリカやアジアにも進出している、大女優だ。
ファンレターの数なんて棒と比べたら30倍ぐらい来ている。撮影現場でもはモテモテで、僕の気持ちなんて届くはずが無い。
「なぁ、ダニエル!」
「なんだよ、ルパート」
「さっきと話したんだぞ!、ハリーポッターの撮影以外でも3作品にも出てるんだって!最近はニホンのタケシ・キタノの新作品にも出るらしい!」
「本当!?その映画すっげぇ見たい!」
「後な、来週2日だけ休みらしいぞ!」
の情報はいつもルパートから聞いている。まぁこっちから聞いてるんじゃなくて、勝手に話して来るんだけど。
「あ・・ごめん、僕今から写真撮影なんだ」
「あ、そっか。頑張ってこいよ!」
そういって僕はルパートと別れた。写真撮影なんか、今週で4回目だぞ・・・。勘弁してくれよ。
毎年この季節になると、撮影の連続。
ちょっと面倒くさい気持ちがあるけど、大好きな映画のために僕は撮影現場に向かった。
撮影現場に付いた途端、周りの雰囲気がなんとなく違ったのがわかった。
「(どうしたんだろう・・・・)」
中を覗いてみるとが写真を撮っていた。笑顔だったり悲しそうな顔だったり、不安そうな顔だったりと、さすが大女優。
僕なんか、"ハリー"になるまでは少し時間がいる。なりきるまで相当な時間がかかる。
「すっげぇ・・・・」
「あっ、ダニエル!」
が僕の名前を覚えてくれた。主役なんだから覚えてるのは当たり前だけど嬉しい。
「ダン、遅かったな。今から10分の休憩を取ります!その後すぐダンの撮影だ!」
ディレクターの言葉で休憩が始まった。そしたらすぐさまが僕の所に走ってきた。
「ねぇダニエル。私ね来週久しぶりに休みがあるの!たしか、ダニエルも休みだったでしょ?」
言われて気がついた。僕も来週休みがある。
「良かったら一緒に映画見に行かない?」
から誘ってくれるなんて思っても見なかったので、すっごい驚いた。
「いいかな・・・?」
「ぜ、全然良いよ!!」
僕は心底驚いた。から誘ってくれるなんて、本当にビックリした。
「じゃぁね、ダニエル。もうすぐ10分になると思うし・・・・ダニエルの演じてるハリーカッコイイよ!」
は僕の頬にチュッとキスをした。そして僕の肩をポンッと叩いて、撮影現場から出て行った。
キスはイギリスでも当たり前にする。だけど、からっていうのが無償に嬉しかった。が『ダニエルの演じてるハリーカッコイイよ!』と言ってくれたので、やってたかいがあるなっと思った。
今日はすぐのめり込めた。が褒めてくれるハリーに。
待ちに待った休みの日が来た。待ち合わせ場所は穴場の映画館。の行きつけの映画館なんだって。今度から僕も行こうかな。
とダニエルという名前は呼び合わないことにした。もしもって時の為にねv
「お待たせ!」
は走ってきて僕の所に来た。可愛い格好をしているのに、サングラスで顔を隠している。
ちょっと不釣合いだけど、まぁしょうがないか・・。
「遅くなってごめんね!」
「いいさ、僕も今来た所だし」
「じゃぁ映画見に行こ!」
そうして僕達は並んで映画館に入ろうとした。
「ねぇ、あれってダニエルとじゃない?」
「嘘!?あ!本当だ!!」
僕達に気付き始めた。結構な人数の人が僕達に詰め寄ってきた。
「サイン頂戴!!」
「一緒に写真撮って!!」
そう言ってくるファンの人たちに、僕は困った。どうしよ・・・。
「ごめんなさい、私達はプライベートで来てるの。サインとか出来ないわ」
は慣れた様に断った。だけど皆しつこくて映画館まで付いてきた。僕達は逃げるように映画館に入り、トイレへ逃げ込んだ。
別々に入ったわけじゃなくて、小さな子供のおしめを変えるためのトイレに入った。
ファンの人たちは映画館の中を探しているのがわかった。
「トイレにはいた!?」とか、映画館の人に「ダニエルとは何の映画のチケットを買った!?」と言う声が聞こえた。
「、考えたね。ここに入るって」
「私いつもファンの人から逃げる時はこう言うトイレに隠れるの。女子トイレってずっといたら怪しまれるし、外で待ってたら怖いしね。ここだと、誰も入ったって思わないでしょ?」
「さすが。・・・・僕ね、ずっと思ってたんだけど、なんで僕を誘ったの?僕と行ったらバレる確立って高くなるだろ?」
「ダニエルを誘ったのは、一か八かで言ってみたの。断られると思ってたけど、OKしてもらって本当に嬉しかったわ。トイレで言うなんて色気のカケラもないけど、私、ダニエルの事好きなの」
たしかにトイレなんて色気のカケラも無いけど、胸が高鳴った。
こんな狭い個室で、の吐息が聞こえて、綺麗な顔が僕をまっすぐに見てくれて。
「・・・っ!・・・」
僕の中で何かが切れた。の唇に吸い付いて、の口の中を舐め回した。
「・・んっ・・・はっ・・!」
僕は左手での胸を掴んだ。唇よりも柔らかい。僕の手よりも大きくて掴むのに必死だった。
「ゃっ・・ぁん・・・」
甘い声がトイレの中を満たした。
「ダニエル・・・まって・・・ゃっ・・・!」
「なに?」
「トイレで・・・したくないよ・・・んっ・・」
の言葉を聞いて気付いた。トイレでやりたくないよな・・・。
「、映画みよっか・・・・」
「うん・・・」
こっそりトイレの扉を開けると、あんまり人がいなく、。よし!っと思い、僕たちは出て、映画のチケットを買い、映画を見た。
凄い音で耳が痛くなるほどだったし、話の内容がつかめなかった。
を見ても、頭をかしげていた。僕はツンツンと指での二の腕を突いた。
は気付いたように、僕を見つめた。僕は突いた指を自分の唇に当てて、トントンと叩いた。
"キスしよう"と言う合図。
も気付いたようで、照れながら、コクンと頷いた。
が頷いたと確認してすぐ、唇を合わせた。のボタンを外して、鎖骨に華を咲かせていった。手は先を急ぐようにの細い太ももを摩っている。
「・・・皆に見つかっちゃったらどうするの・・・?」
「見ても、ビックリして見てないようにするって・・・」
「ズルイよ・・・ダニエル・・・!」
「どうして?」
「ダニエルがそう言うと、否定できないじゃない・・///」
「可愛い、」
僕はにキスをした。映画の映像での甘い声をかき消してくれて、他のみんなは映画に夢中になって僕達に気付いてくれない。
また、此処の映画にと来ようかな。