注射









3日前のラブラブが嘘みたい。
私は深夜勤務の多い病院で働いている。お互いの働く時間が違うため、すれ違い気味になる。



それを発散するために土日はずっと一緒にいる。
同棲するようになってからもう5ヶ月はたとうとするのに、
2人で外出するのがまだ3回ぐらいしかない。



仕事をしていたら、愛の欲しさは忙しさに潰れて忘れられる。


だけど、休憩とかさ・・・
仕事終わりの帰り道とかさ・・・
寝る前のちょっとした考え事してる時とかさ


寂しくてしょうがない。




どうして昨日、もっと一緒にいなかったんだろう。

キスしたいのに、照れくさくって話すだけだったり。





ほんっと、つまんない。




酒が苦手な私は、3.7%の酒入りチョコでも酔っ払ってしまう。

寂しさを忘れるため っと言っちゃ、痛い子だけど本当なんだからしょうがない。
少しの苦さを我慢しながら一気食い。


あーあ。寝る前食べちゃったから太っちゃうなぁ。





その時、仕事中のルパートからメールがくる。





『今、ロンドンタイムズの写真撮影終わったよ:-D』



余計寂しくさせる気かって感じよね。



『新聞の撮影? 珍しい!』
『DVD発売の宣材写真。2時間も撮影時間あったくせに、選ばれるのは3枚程度って酷いよね;-<』
『まぁそれが仕事なんだからしょうがないよ。私なんか眠たいのを必死に堪えながら、起きなきゃいけないの。コッチのほうが結構辛いのよ?』
『そりゃぁお疲れ様。 土曜日に元気の出る注射してあげるよ!』



下ネタだせるほど元気じゃん。
今時注射って・・・ ダンに教えてあげたいわ!





『病院で目立たないようにしなよ? 患者の方が僕より会ってるからすっげー腹立つ!! :-<』
『私にはルパートしかいないから大丈夫。安心して』
『若い男以外にも気をつけろよ! じゃ、フランス行ってきまーす!』


突然メールしてきておいて、そっちからメールを終わらせる。


あーあ、さみし。




さーて寝るか って想うと、タイミング悪くチャイムがなる。
居留守を使ってやろうとしても、3回もチャイムを鳴らしてくるのに苛立ちが募る。


「どなたですか・・・」
「注射しに往診に来ました!」



インターホンの画面にルパートが映る。
閉じ気味だった目がばっちりと開いて、すぐさま玄関に走る。




「ルパート・・・フランス行きはどうしちゃったの?」
「此処のマンションの名前フランだろ? ダジャレみたいだろ?」


ニッコリ笑顔で、私の顔を見る。
バカバカしいけど、笑っちゃった。



部屋に招きいれ、紅茶を出そうと席を立とうとすると、
後ろからルパートが抱きしめてきた。

腰にルパートの顔があるから、ちょっと恥かしい。



「はーなーれてーー!」
「パジャマもの匂いがする」

自分の足元へ乗せる。




「注射してあげよっか?」
「私これから寝て夜勤ー!!」
「出すもん出しとかなきゃ、敏感になりすぎるだろー。適度にしなきゃ溜まるって。看護婦なら知ってるだろう?」
「1人で頑張りなさいよー・・」
「イジメだぜ? そういうの」

「ヤらなくても、一緒にいて欲しいの! 寝るときにルパートの匂いがしてたら安心するし」
「だからイジメだって、そーゆーの」
「ベー。知るかっ」



こんな会話でも落ち着く。
リラックス出来て嬉しい。


あー・・でも眠気には勝てないかな・・。