ヴォルデモートがこの世に現れたのは、一人の女の子が原因・・・・。
その女の子の名前は。
ヴォルデモートが世界で一番愛した女。そして、失った女。
「トム・・・?」
「・・・・・・」
「トム」
「・・・・・・・・」
「トム!」
「・・・あぁ?なんだよ」
「また一人で考え事してたのね。最近いっつもそうよ。今日の事なんだけど、覚えてるわよねぇ?」
「今日・・?」
「覚えてないの!?」
「何かあったっけ?」
「もう!私の誕生日でしょっ!覚えてくれたっていいじゃない!」
「俺、誕生日とか興味ないし」
「私は興味あるの!プレゼント用意してよね!前のトムの誕生日、ちゃんとプレゼントしたんだからねっ!」
はトムの背中をポンッと叩いた。
「じゃぁ、今日の夜に、いつもの場所で」
いつもの場所っていうのは、星が見える所。
っていっても、全然ロマンチックな所じゃない。近くにはマグルがいるし。
トムがそこに行ってくれる理由は、私のお婆ちゃんとお爺ちゃんがいるから。
私はお爺ちゃんとお婆ちゃんが魔法使いだったから、ホグワーツに行けたわけだし。トムもお婆ちゃん達には懐いてる(?)から。
「(今日はちょっとオシャレしよっ!)」
タンスとかクローゼットから可愛い服や大人っぽい服を引っ張り出した。
一回一回、鏡の前で試着をした。トムの好みを知っている。トム好みの服を着てみる。あれも、これも、着てみた。
「よしっ!これに決定!」
私が決めた服は、やっぱりトム好みの服。ちょっと私的にはちょっと変って思うけど、トム好みの服だから・・・。
そう考えてる自分は、すっごいトムの事好きなんだなぁと実感する。
「えへへ」
約束の場所。私はトムを待つ。私がいる場所から、お爺ちゃん達の家が見える。
テレビとかでよく見る木の家。あったかい光が見えて、すっごい幸せそうなお爺ちゃん達が見える。
「!!」
「トム!!」
後ろを振り向いてたら、トムがいて、大きな紙袋を持っていた。けっこうデカイ・・・。いったいなにが入ってるんだろう・・・・
「遅くなってごめん!」
「遅いよ〜!すっごい寒かったんだから!!」
「だから、ごめんって!」
はたからみた、ただのカップル。でも私達は魔法使いだもんねー☆
私達は、お婆ちゃんちからちょっと離れた所にある、イスに座った。
「じゃ、さっそくv」
「さっそくプレゼントかよ・・・もうちょっと後で・・」
「え〜〜」
コロコロ変えるの顔が可愛くて、苛めたくもなる。
「とキスしたい」
「え・・・」
不満そうな顔をしていると思ったら、すぐさま真っ赤になる。
「キスしたい・・・・と」
「い・・・いよ・・・・・」
ぎゅっと目を瞑った。僕は「好きだよ」と言い、の柔らかな唇に己の唇をあわせた。
リップ口紅をはつけない。僕が付けない方がいいって言ったから。だって、リップを付けたら、本当のの唇の味がわかんないから・・・・。
「ん・・・んん・・・・」
甘い声が漏れて、耳から頭や足まで響いた。
唇だけだったらつまんない。は誰のものにもしたくない。僕のものだけにしたい。
唇をそっと外した。 のほっぺは、この寒い中なのに真っ赤で火照っている。
「・・・」
「なに?トム・・・?」
僕は紙袋から、あるものを取り出した。
「これ」
にそれを見せた。
「これって・・・ウェディングドレス・・?」
真っ白なウェディングドレス。柄もすっごく可愛かった。
「これを・・私に・・?」
「あぁ。これを着て、僕と結婚してくれないか?」
「うん・・・・。結婚したら、子供いっぱい産んで、二人で育てようね!世界で一番かっこ良い子、可愛い子を育てようね」
の目には涙が溜まっていて、涙が流れそうなのを頑張って堪えて、ニッコリ笑っていた。
そんなが愛おしくて、愛おしくて、の頬をなでて、またキスをした。唇から離れて、耳を舐めたり、首元に華を咲かせたり。
―――今思えば、あの時、家に帰ってたら良かったな・・・・・―――
のちに、トムはそう考えた。
そう思った理由は、一発の銃の音。”ドンッ”と音が鳴った。ちょっと離れた所で・・・・。
「あんた!!あんた!!」
お婆ちゃんのこえ・・・?
私とトムは、お婆ちゃん達の家にいった。家からは、男の人とお婆ちゃんが出てきた。
「人殺し!!お爺さんを殺して!!」
お婆ちゃんの声が私の頭に響いた。
え・・・・?お爺ちゃんが殺された・・・?嘘でしょ・・・?
「うるせぇな!!あんなジジイ、死んでも別にいいんだ!!!少しは黙れ!!クソババア!!!」
男の人が、お婆ちゃんに銃を向けた。
そして、私達の目の前で、バンッバンッと撃った瞬間、お婆ちゃんはバタッと倒れた。
「おばあちゃん!!!」
「バカッ・・・!!!」
はお婆ちゃんの所へ駆け寄った。
「チッ・・・・邪魔なヤツが出てきやがって!」
男はにも銃を向けた。俺は嫌な予感がし、の所へ走って行った。
「やめろぉぉおぉおぉぉ!!!!!!」
トムが叫んでも、男は銃の引き金を引いた。
”バンッ!!バンッ!!バンッ!!”
3発の銃弾が、に当たる。
「!!!!」
トムはに近づき、抱きしめた。
さっきまで暖かかったが、すっごく冷たかった。目からは涙が流れていた。 弾は全部、の胸に当たっていた。
ぎゅっと抱きしめても、いつもみたいに、抱き返してくれない。
「てめぇ・・・・」
俺の目から涙が流れていた。
ポケットから杖を取り出した。そして、禁断の呪文を唱えた。
「アバダ・ケタブラ」
を失った悲しみが多くて、目の前の男だけを殺すだけじゃなく、
自分の範囲50mぐらいにいる人全部が、一瞬で死んだ。 男は目の前から消えた。お爺さんもお婆さんも消えた。
ただ、抱きしめていると僕だけ残った。
「・・・・」
の頬を触ってみても、なんの反応も無い。暖かくも無い、ただただ、冷たかった。
「好きだよ、」
そういっても、照れてもくれない。ただ、目を瞑っている。
「起きてくれよ・・・・・・・」
目から大量の涙が出て、の手や顔に落ちた。
「返事してくれよ・・・いつもみたいに笑い返してくれよ・・・・好きって言ってくれよ・・・・・」
何回言っても返事は返ってこない。死んでいるのだから。
死人は返事を返さない。そして、二度と目が覚めない。
「が生きていないと、俺の生きる価値が無いんだよ・・・・結婚してくれるんじゃなかったのか?子供をいっぱい産んでくれるんじゃなかったのか?俺に嘘を付くなよな・・・・」
さっきまでの時間が嘘みたいで、目の前には動かないがいて・・・・。俺はをまたぎゅっと抱きしめ、の唇にチュッとキスをした。
最後のキスは、死人の味がした。舌を絡ませても、胸元に華を咲かせても、反応が無い・・・。
「・・・愛してる。世界で一番。俺が愛した女はお前だけだ」
そういった。ずっとを抱きしめて考え事をしていると、だんだん、悲しみが憎しみに変わっていった。
「、俺は決めた。この世の人全てを殺してやる。俺達が幸せになれないのに、他のヤツが幸せになるなんて許せない。全員を殺し終わった時、俺はの所まで行く。だから、ずっと待ってろ。ちょっと時間はかかるが、絶対行く」
そして、をぎゅっと抱きしめ呪文をかけた。その呪文は、”相手の時を止める呪文”。
一番愛するを、そのままにしておきたかったから。
それから、俺は人を殺し始めた。なんとも思わない。を失ってから、怖いものなんてなくなった。
幸せそうな家族、カップルなんでも殺してやる。と俺より幸せなヤツは、かたっぱしからブッ殺す。そして、家に帰ってを抱きしめる。それが日課。
、愛してるよ。もうちょっと待っててくれな・・・